走行中の電車内で…
走行中の電車内で被災した場合、心配なのは脱線による横転だ。
「鉄道会社は高架やトンネルの補強をしたり、強い揺れを感知するとブレーキがかかる地震警報システムを導入しています。一部の新幹線は、2004年の新潟県中越地震の脱線事故を受け、車両の台車中央部に逸脱防止のストッパーを設置しています」(枝久保さん)
それでも揺れへの個々の対策は必要だ。鉄道事故では先頭車両と2両目に死傷者が多くなる傾向があり、車両同士をつなぐ連結面もつぶれやすく危険。混雑しているからといって連結面の上に立つのは避けたい。電車内で比較的安全なのは中央の車両だ。
「座っている方が安全度は高いですが、立っている場合は、揺れや緊急停止時の衝撃で転倒しないよう、手すりやつり革にしっかりつかまりましょう。多くの人が密集する車内で折り重なって倒れると危険です。また、揺れが収まっても、落下物の多い駅のホームより車内にいた方が安全なので指示が出るまではその場にとどまります。対向列車が来ないとも限らないので、線路内に出るのは厳禁」(枝久保さん)
取材・文/桜田容子 イラスト/尾代ゆう子
※女性セブン2022年3月24日号