「AIを使う能力」が問われる時代
AIの登場によって、AIを使いこなす能力が問われるようにもなる。面白いのは、単に機能的なレベルのみならず、どの視点でAIを使うか、という、使い手の視座や目的によっても、AIは別の表情を見せることだ。
「たとえば『AIのべりすと』を『編集者』として見るか、『作家』として見るかによって、AIの見え方は変わってくると思います。編集者として見る人は、アイデアを出してくれたり、自分の文章をブレストしてくれる存在としてAIを使うでしょう。一方作家として見ると、人間がAIにヒントを与えて、AIの書いた文章を推敲したり、整えていくという使い方をするのではないか。使い手の立場によっても、AIの使い方は全く変わってくるわけです」
人間の文章の書き方は、手書きからタイプライター、そしてパソコンと、新しい道具の登場によって変化してきた。AIを一つのツールとして見るならば、その延長線上にAIがあると位置づけることもできるが、人間の能力を飛躍的に拡張するAIの登場が引き起こす変化はおそらく、これまでの比ではないだろう。興味のある人は、ぜひ、体感してほしい。
そしてAIの世界は、今、90年代のマルチメディア革命に匹敵するような大変化の只中にあるという。後編では、Staさんが見通す、AIと人間が共存する未来像をお届けする。
【プロフィール】
Sta(すた)/1988年東京都生まれ。ゲームクリエイター、作曲家、プログラマー。幼いころからパソコンに興味を持ち、9歳で200本のゲームを作成。デジタルメディア研究所の橘川幸夫氏に認められる。小学校1年生から不登校となり、『新潮45』特集21世紀の日本を支える「21人の若き天才」に「すでに伝説的な不登校小学生」として取り上げられた。2012年6月iOS・Android向け音楽ゲーム・アプリ「Tone Sphere」をリリース。企画からプログラム・グラフィック・音楽など全てを自身が手がけ2021年までに世界で120万ダウンロードを達成。「AIのべりすと」も、当初は次にリリースする予定のゲームで使う目的で開発されたものである。株式会社Bit192代表。
AIのべりすとを使った「第1回 AIのべりすと文学賞」についてはこちらから
https://demeken.net/ai-novelist/