いまどきの高校受験で親は無理をさせない(イメージ)
いまは少子化ですし、親も無理させません
2021年度の高校進学率は文部科学省調べで98.9%、日本のほぼすべての中学生が高校には進学する。もはや高校は実質的な義務教育と言ってもいい。
「それなのに東京都の高校受験で6回も落ちるというのは本人のせいばかりではありません。確実に大人のせいでもあります」
大維志さんは6回の入試で不合格、高校受験でそれは素人目にも珍しく、有名人の子どもで親子揃って発信しているのもあるのだろうが、衆目を集めるのは仕方がないのかもしれない。
「現代では珍しいですからね。1980年代後半、団塊ジュニアの受験戦争のころには手当たり次第に受けるって子もいましたけど、いまは少子化でそれなりのところには受かりますから、親も無理はさせません。内申点でおおよそはわかるわけですし。その子のことは詳しく知りませんが、よほど無理させているのでは」
無理ということは、実力に見合わない高校を受けている、受けさせているということか。
「それもありますが、やはり内申点と見合わない部分もあるのでは。内申点の比重は年々高くなっていますから、上位校や中堅校では本番で点数(学力検査得点)をとっても合格できないというケースはあります」
室長の話はあくまで東京都の話で地域差はある。また偏差値の算定とそれによる受験校の選定は現場レベルではもっと複雑となるが本稿では平易に置き換える。確かに近年、東京都の内申点は国数英理社の主要五科目以上にその他の科目である音楽、美術、保健体育、技術家庭といった副教科が重視される傾向にある。
「副教科と言っても9教科中の4教科なわけですから、このあたりの内申点が低いと不利になります。出来や優劣でそれほど下げられるような教科でもないので、いかに真面目に取り組むかという姿勢が求められます」
決して大維志さんが真面目に取り組んでいないとは言わないが、内申点が低いと本人も告白している通り、やはり身の丈以上の高校を受けてしまっていることが原因なのか。
「そう思います。いまは2次募集も含め選択さえ間違わなければ、どこかの高校、とくに都立には必ず入れますから」