「これは私の意見ですが、大学受験で挽回できるわけで、親御さんは柔軟に考えてあげるべきだと思います。お医者様のお子さんとのことですが、お金もあるでしょうから医歯薬系の予備校に通わせることもできるでしょうし、医学部もお金や同窓生子弟枠などである程度はなんとかなる大学もあります。柔軟に考えてあげるべきでしょう」
もちろんお金でなんとかなるとはいっても裏口入学とかではなく、学費が数千万円を超える医学部へ進学できる家庭は限られるので、倍率も偏差値も医学部としては低い大学を目指せる、という可能性の話である。大維志さんは「頼むから殺してください」とインスタグラムに投稿したそうだが大丈夫、高校受験なんて通過点は死ぬほどのことじゃない。本番は大学受験でもいいし、学校に向いてないなら社会人としての成功でもいいはずだ。
都立の3次募集の出願日は3月22日。試験日(検査日)は3月25日で多くは国数英の3教科、一部都立は面接と作文で学力検査を実施しない。合格発表は3月28日、入学手続きは3月29日まで。本当にギリギリまで東京都は公立志望の子を受け入れようとする。こうした都立高校関係者の努力には頭が下がる思いだが、大維志さんは受けるのだろうか、受けないとすれば、あまりにもったいないと思うのだが。
最後に、大維志さんに限らずこういった子に対しての受験指導のプロとしてアドバイスはあるか。
「いまどき高校浪人だけは止めたほうがいいです。何度も言いますが大学受験で挽回できますから、最低限の高校進学(もしくはそれに準じる高認など)だけはしたほうがいい。どうしても受験生の中には意地になってしまい高望みをやめられないまま追い詰められる子もいます。受験しているだけなのに『偏差値の高い高校を受ける自分は賢い』という勘違いに陥る子もいます。優秀な親の中には『自分の子がこんな高校しか入れないなんて』と現実を受け入れられない親もいます。親御さんのお子さんに対する現状認識が大切で、(大学受験を前提とするなら)高校3年間、もしくは高認で挽回を目指す、という長い目でお子さんの将来を見てあげて欲しいですね」
【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。社会問題、社会倫理のルポルタージュを手掛ける。