ビジネス

鉄道車両の引退セレモニー減 「サイレントラストラン」が増加する背景

サイレントセレモニーでJR東日本から完全引退した115系。かつて信越本線、青海川駅付近を走行していた当時の様子(時事通信フォト)

サイレントラストランでJR東日本での定期運行を終了した115系。かつて信越本線、青海川駅付近を走行していた当時の様子(時事通信フォト)

 かつて芸能人の結婚報告といえば、ホテルの宴会場を借り切って金屏風の前に2人がそろい、満面の笑みでカメラのフラッシュの放列を浴びる、といった賑やかなものだったが、最近は、それぞれの公式SNSで発表して終わり、あらためて会見をするということは減っている。鉄道車両や列車の引退についても、華々しくセレモニーを開催するよりも、地味に行われることが増えている。ライターの小川裕夫氏が、近ごろ増えている鉄道車両の「サイレントラストラン」についてレポートする。

 * * *
 昨年末、小田急電鉄が誇る「白いロマンスカー」ことロマンスカー50000形VSEの定期運行終了が発表された。VSEは2005年に登場。シルキーホワイトの車体カラーは小田急沿線住民や鉄道ファンのみならず、箱根の観光客など幅広い層を虜にした。

 VSEは登場から17年で定期運行から姿を消した。これは歴代のロマンスカーと比べても、短い活躍期間だった。絶大な人気を誇るVSEが短命で幕を閉じるというニュースが流れると、あちこちから惜しむ声が漏れた。

 3月12日にダイヤ改正が実施されたため、前日の夕刻には多くの鉄道ファンが最後の勇姿を見納めるために新宿駅のホームに大集結。新宿駅ホームの先頭車両の位置には、駅員が手づくりしたと思われるメッセージボードやVSEの模型などが置かれるという一幕も見られた。

「VSEは定期運用から離脱するわけですが、まだ不定期列車としての運行は続きます。そのため、今回の新宿駅ホームでの一連のイベントは引退式典ではありません」と話すのは、小田急電鉄CSR・広報部の担当者だ。

 今回、新宿駅をはじめVSEのお見送りをした各駅では規模の大小こそあるものの独自のセレモニーが実施された。それらは、あくまでも現場の判断によるイベントという位置付けになるとのこと。小田急はVSEの引退を2023年秋頃と発表しているが、そのときに改めて公式の引退セレモニーを実施するということだろうか?

「小田急社員の間ではVSEの引退式を実施したいという気持ちは強くありますが、今後のことに関しては決まったくまっていません。公式的な式典は、実施が決まり次第アナウンスする予定です」(同)

関連記事

トピックス

万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
9年の濃厚な女優人生を駆け抜けた夏目雅子さん(撮影/田川清美)
《没後40年・夏目雅子さんを偲ぶ》永遠の「原石」として記憶に刻まれた女優 『瀬戸内少年野球団』での天真爛漫さは「技巧では決して表現できない境地」
週刊ポスト
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
チームには多くの不安材料が
《大谷翔平のポストシーズンに不安材料》ドジャースで深刻な「セットアッパー&クローザー不足」、大谷をクローザーで起用するプランもあるか
週刊ポスト
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
政権の命運を握る存在に(時事通信フォト)
《岸田文雄・前首相の奸計》「加藤の乱」から学んだ倒閣運動 石破降ろしの汚れ役は旧安倍派や麻生派にやらせ、自らはキャスティングボートを握った
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン
秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式が行われた(2025年9月6日、写真/宮内庁提供)
《凜々しきお姿》成年式に臨まれた悠仁さま 筑波大では「やどかり祭」でご友人とベビーカステラを販売、自転車で構内を移動する充実したキャンパスライフ
NEWSポストセブン
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン