国内

電動キックボード「無免許ノーヘルで公道走行可」は見直すべきではないか

街中を走る電動キックボード(イメージ、時事通信フォト)

街中を走る電動キックボード(イメージ、時事通信フォト)

 日本では過去に二度、「交通戦争」と呼ばれた時代があった。第一次は自動車交通が急成長した1955年頃から始まり1970年代前半まで、主に子供を中心とした歩行者が犠牲になった。第二次は、国民皆免許状態になった影響で減少していた死者数が増加に転じた1980年からで、自動車乗車中の死者が最多だった。そしていま、道路交通法の車種区分に「特定小型原付」という、交通を巡る社会が大きく変わりそうな新しい仕組みができた。電動キックボードをはじめとした新しいパーソナルモビリティは、時速20kmまでという条件つきながら、16歳以上であれば免許不要で歩道も自転車道も走れることが決まった。俳人で著作家の日野百草氏が、新しい概念の乗り物をプロのドライバーたちはどのようにとらえているのかを聞いた。

 * * *
「無免ノーヘルが増えたら怖いね、こっちは仕事だからね」

 東京、四ツ谷駅前の交差点。しんみち通りの入口近くで待機していたトラック運転手に、ちょうど電動キックボードが走り去って行ったので聞いてみた。「無免ノーヘル」とは3月4日に閣議決定された電動キックボードについての道路交通法改正案のことだろう。これについては後述とする。

「あれならまだいいけど、無免ノーヘルは困るね。ナンバープレートもないのが走って、引っ掛けでもしたら大変だ」

 あれなら、というのはその電動キックボードは半ヘルとはいえヘルメットをかぶり、原付(1種)のナンバーを取得していたからだ。傍から見ていて一般的な原付バイクに比べれば不安定かつ危なっかしいが、道路交通法的には問題ない。

「でも怖いよ、バイクだってすり抜けされるとヒヤッとするけど、あれ(電動キックボード)は本当に見えないんだよ。とくに夜はびっくりする。信号待ちで並んでたのかってね」

 保安基準はあるが守られているかはあやしいところ、筆者もたびたび目撃したが、ライトもなければ反射板もない電動スクーターを池袋、高田馬場、中野とそれぞれ目撃したことがある。原付のナンバーは市区町村で申請するが基本的に車体確認もないため、あとは「自己責任」ということになる。場所を変えて市ヶ谷、印刷会社の営業車で待機中の営業マンに話を聞く。

「私も自分で乗ってみたいとか興味はありますけど、任意保険とか入ってるんですかね」

 筆者が「原付の任意保険加入率は30%前後」(ファミリー特約含む)と教えると「ぶつかったら怖いですね」と苦笑い。本当にこの任意保険加入率はなんとかならないものかと思う。下手をすれば被害者は泣き寝入りになる。

「歩道も条件次第で走れるみたいですし、いろいろ急ぎすぎな気がします」

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン