ライフ

尿が出にくい「前立腺肥大症」を改善する新治療が保険適用に

「前立腺肥大症」を改善する新治療とは?(イラスト/いかわ やすとし)

「前立腺肥大症」を改善する新治療に朗報(イラスト/いかわ やすとし)

 夜間頻尿と並び、男性に多い排尿の悩みが、出そうとしても尿が出にくい溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)だ。その原因の多くが、前立腺肥大症によるもの。前立腺が肥大して尿路が閉塞し、尿の出が悪くなる他に、前立腺に多く存在する交感神経が緊張して尿が出にくいケースも。治療は薬物療法以外に、前立腺を削る外科的治療があるが、今年4月に新しい低侵襲手術が保険適用となる。

 排尿後、少量の尿が漏れることがある。この排尿後滴下は尿道の長い男性に起こるが、病気ではない。男性が困る排尿の訴えは膀胱が膨らみ、排尿したいのに出にくい溢流性尿失禁。その原因の主たるものが、前立腺肥大症だ。

 前立腺は膀胱の出口付近で尿道を取り囲んでいる生殖器の一つで、前立腺液で精子に栄養を与えたり、保護する役割を担う。それが加齢により前立腺が肥大し、尿道を圧迫、尿が出にくくなる。前立腺肥大症で悩む人は全国で50万人以上と推測されているが、全員が医療機関を受診しているわけではない。

 東京慈恵会医科大学泌尿器科の古田昭准教授に話を聞いた。

「前立腺肥大は加齢に伴う変化です。なので肥大だけなら治療する必要はありません。ただ肥大することで中心を通る尿道が圧迫され狭くなり、尿の出が著しく悪くなることがあります。残尿感があり、何度もトイレに通う人もいます。また加齢で血圧も高くなりますが、それは交感神経が活発化するからです。前立腺にも大量の交感神経があり、常に緊張状態のため、尿が出にくくなります」

 前立腺肥大症治療の第1選択は薬物治療だ。前立腺を小さくする5α還元酵素阻害薬と、α1遮断薬の2種類がある。α1遮断薬は尿道の平滑筋にあるα1受容体にくっつき、交感神経の緊張を抑制し、尿道を広げて排尿を円滑にする。α1受容体は血管の平滑筋にもあり、元々は高血圧の薬として開発されたが、十分な効果が得られなかった。

 しかし、研究の途中で排尿がよくなるとの報告があり、最終的には前立腺肥大症による下部尿路閉塞を改善する薬として開発されたのだ。

 薬物療法で十分な効果が得られない場合には肥大した前立腺を内側から削り、尿道を広げる外科的治療を行なう。電気やレーザーなどで前立腺組織を削るため、出血のリスクや入院する必要がある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
《信者の前で性交を見せつけ…》“自称・創造主”占い師の濱田淑恵被告(63)が男性信者2人に入水自殺を教唆、共謀した信者の裁判で明かされた「異様すぎる事件の経緯」
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
NEWSポストセブン