「レズビアンなら、男になりたい?」という感覚の誤解
性的少数者への理解を深めるためのイベント「東京レインボープライド」で、3年ぶりとなるパレードのオフライン開催が注目されるなど、「LGBT」への社会的な関心は高まりつつある。LGBTについて理解し、支援する人(=アライ、英語で味方を意味する)も増えつつあるが、メディアには誤解に基づいた表現が少なくない。ガイドブックでは、日常生活でも聞かれそうな事例から、表現の問題点を指摘している。
「レズビアンなら、男性になりたいの?」
「ゲイは男性と女性、両方の気持ちが分かるから恋愛相談したい」
LGBTとはレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(出生時に振り分けられた性別と心の性別が異なる、もしくは違和感を覚えている人)の頭文字から取った言葉。LGBは、性的指向(恋愛感情や性的な関心がどの性別に向いているか)、Tは性自認(自分の性別をどう捉えているか)で、上記の事例はそれを混同しているケースだという。
LGBTのいずれにも当てはまらない人もいて、今後新たな定義や用語が生まれる可能性もある。「性的少数者ではない『普通』の自分には、訳がわからない」だろうか? ガイドブックでは、性のあり方は十人十色だとして、「普通って何でしょうか」と読者に問いかけている。
性のあり方はくっきり分かれているのではなく「グラデーション」だ。服装や呼称など、どのように性を表現するかも人それぞれ。誰もが性の当事者として、多様な性のあり方を考えることが重要だろう。
2017年、民放のバラエティー番組での「あんたホモでしょ」と男性同性愛者を嘲笑する表現に批判が相次いだ。当事者らも「性的少数者に対する性的指向・性自認に対するハラスメント」と抗議。メディアにおける人権意識の重要性を再認識させることになった。同年には、埼玉県蕨市の小学校男性教諭による問題発言もあった。
「ここにオカマがいるのか。誰だオカマは」
性的少数者の児童1人が在籍するクラスでの授業中の発言だった。直接この児童に向けた発言ではなかったが、保護者が学校に抗議して発覚。教諭は児童と保護者に謝罪したという。