小池とバトルを繰り広げるのは江口のりこ
女性の登場人物を軽視しない三谷幸喜
第12話では、前回のラストシーンで父・伊東祐親(浅野和之)と兄・祐清(竹財輝之助)を愛する頼朝に殺された前妻・八重(新垣結衣)の切ない心情も描かれます。さらに義時の妹・実衣(宮澤エマ)の人生にも動きがあるなど、やはり『鎌倉殿の13人』は「女性たちの物語もしっかり描く」というスタンスなのでしょう。
三谷さんは2016年の大河ドラマ『真田丸』でも、戦国時代が舞台の作品でありながら、主人公・真田信繁(堺雅人)の母・薫(高畑淳子)、祖母・とり(草笛光子)、姉・松(木村佳乃)、信繁を慕うきり(長澤まさみ)、兄・信之(大泉洋)の妻・こう(長野里美)と稲(吉田羊)など、女性の登場人物を軽視せず、その生き様をしっかり描いて女性視聴者の支持を集めた実績があります。
このようなスタンスは女性視聴者の共感を集められる上に、他の大河ドラマとの差別にもなりうるもの。また、本編から切り離して楽しめるエピソードだけに、1年間放送される長丁場の大河ドラマにおけるアクセントになります。
これは裏を返せば、三谷さんが思い切り自由に書けるということ。史実をベースにしつつ、どんなセリフと描写を手がけ、それに小池さんら女優陣が応えるのか。戦のシーンと同等以上に期待してもいいのではないでしょうか。
『鎌倉殿の13人』はこれまで何度となくツイッターの世界トレンド1位を獲得したほか、ランキングを席巻してきましたが、今回の放送でも期待大。番組名を筆頭に、どんなフレーズが上位にランクインするのか。「亀の前事件」を楽しみながら、チラチラとランキングを見るのも楽しそうです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。
宮沢りえも登場(写真=Imaginechina/時事)