医師の腕に大きく左右される手術も
人工関節で売り上げを伸ばす
特定の病気への処置だけでなく、手術をすることそのものに伴うデメリットを挙げる声が上がった。
A夫:そもそも、手術時の全身麻酔は体に大きな負担をかけますし、認知症のリスクを上げるという報告もある。また、大学時代の同期から聞いたのですが、ツテをたどり高い謝礼を払って有名教授に執刀を依頼したのに、途中で若手に交代していたという話もあります。全身麻酔中の患者は当然何も見えないし覚えてもいないから、手術室で何が起きているかわからないというのも、よく考えると怖いですよね。
B美:手術後の回復に時間がかかって入院日数が長くなると、体力が低下してしまうという弊害も見過ごせない。特に高齢の患者さんは、手術をきっかけに目に見えて衰弱して認知症や寝たきりになってしまう人も多い印象です。
C男:確かに、高齢者は手術したことでかえって容体が悪化したという例も少なくない。しかし、うちの院長もそうですが、経営側は『ベッドに空きがあるなら入院させたい』というのが本音です。もちろん病院経営も大事ですが、本人のその後を考えると割り切れない。
A夫:お金もうけという視点だと、ひざや股関節の人工関節入れ替え手術を“ドル箱”と呼ぶ医師は多いですよね。治療がシステム化されているし、入院もセットになって病院経営を安定させるために欠かせない手術であることは間違いない。うちの病院の会議でも『売り上げが振るわないから人工関節の手術を増やしたらどうか』なんていうことが議題にのぼったことがあります。
D太郎:眼科でいえば、レーシックやICL(眼内コンタクトレンズ)治療が“ドル箱”にあたります。