2015年ノーベル賞受賞記念講演の最後に舞台に上がる医学生理学賞を受賞する3氏。(右から)線虫感染症の新治療法を発見した米ドリュー大のウィリアム・キャンベル博士と大村智北里大特別栄誉教授、マラリアの新しい治療法を発見した中国中医科学院の屠ユーユー博士。屠博士は中国人科学者として初めての受賞だった(時事通信フォト)
筆者も常々思う。日本の人件費および対価など世界的に見ればすこぶる安い。ましてや日本の優秀な研究者や技術者、クリエイターなど世界的には本当に安い。日本がまともに賃金すら払えないような貧国なら別だが、日本政府、研究機関、会社組織はそこまで余裕がないのだろうか。切るということは、他に行くということ、それは敵に渡るかもしれないのに。
「やっぱりidiotです」
ちょっと煽り過ぎたか。お酒が入り過ぎたのもあるのだろうしこの辺で制したが、中国人に限らず他国の研究者、技術関係者も日本のこうした研究、ものづくり、クリエイティブに関する信じられないほどの冷遇を不思議がる。資源大国でもなければ食料輸出大国でもない国が頭脳を放棄し続ける、今回の理研600人の雇い止めは、本格的な亡国への道を辿ろうとしているのではないか。
彼と同様に筆者も不思議だ。そして日本の頭脳がまた大量に海外へ流出するであろうことが、本当に恐ろしい。
【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。社会問題、社会倫理のルポルタージュを手掛ける。