3人の会話劇が12年ぶりに復活(提供写真)
ただの演者とプロデューサー/監督ではない
──福田雄一さんが売れっ子になったことで、『THE3名様』は「あの福田雄一の監督デビュー作」として語られる機会も増えました。監督を引き継ぐことに難しさは感じませんでしたか?
作品のフォーマットや空気感を全員で共有できている現場で、特にキャスト3人にはトーン&マナー(作品の一貫性を保つための基本要素)が完全に備わっています。だから僕は彼らが生み出すものをすくい取ればいいだけだろう、と。なので監督を引き継ぐことへの難しさは感じませんでした。ただ、これまでは福田さんが脚本も担当していたので、「脚本をどうしよう?」という問題がありました。そこで原作漫画を手掛ける石原まこちん先生にご依頼したら、ご快諾いただけました。なんとエピソード20本ぶんも書いてくださって……。
──20本も!
結局10本に絞ることになってしまいましたが、本当にありがたかったです。エピソードを絞る作業は、佐藤隆太くん、岡田義徳くん、塚本高史くんの3人と僕とでZOOMで行いました。『THE3名様』という作品において、3人は役を演じるだけではなく、企画の裏面まで共有しています。「作品を届けるにしても、昔と同じ予算と規模で全国を巡るのは厳しい」などぶっちゃけた部分も伝えた上で、じゃあどうしようかを話し合いました。ただの演者とプロデューサー/監督みたいな関係では全然ありません。
──キャストの方々とさまざまな話し合いを重ねたんですね。
そうなんです。僕は今回、プロセスエコノミー(制作過程も含めてビジネスにすること)に挑戦したいという目論見がありました。「公開に先駆けてYouTubeでメイキングを出そう」とか「クラウドファンディングをやろう」とか「Tik Tokをやろう」とか初挑戦のことばかりでしたが、みんなで手探りで頑張っていきました。そういうふうに夢を描いていたら、たまたま劇場公開が決まって……。