「お墓を別にすることに関しては、特別な手続きは必要ありません。離婚しなくても“お墓は別々”という夫婦もいます。大切なのは、あらかじめ“自分が亡くなったら墓は夫とは別にしてほしい”“墓は必要ないから散骨してほしい”などと伝えておくことです」(岡野さん)

 子供の立場から見ると、両親の墓が別々にあることで、倍の手間がかかってしまう可能性がある。子供の了解を得て準備を進めることが大切だ。

義父母との縁も切る

 旧姓に戻し、夫の遺品を処分。引っ越しもして、新たにお墓を手配した。それでも「夫とのつながり」から完全に自由になれるわけではない。結婚すると夫方の家族、つまり、義理の父母やきょうだいとは「姻族」という関係になる。この関係は夫の死後も継続する。

「配偶者の死後、義理の親を介護しなければならないケースがあります。さらに同居している場合、義理の親を扶養する義務が発生する可能性もあります。こういった姻族との面倒な関係を断ち切る手段が『姻族関係終了届』です」(アディーレ法律事務所の弁護士・林頼信さん)

 この届けは本籍地、または居住地の市区町村役場に提出するもの。法務省によれば、届け出件数が近年増加しており、2011年度は2000件に満たなかったが、2020年度は3000件に達している。

「俗にいう『死後離婚』は、この姻族関係終了届を提出することをいいます。姻族の同意は不要で提出期限はなく、提出したことは姻族に知らされません。これで義父母の介護や扶養の義務はなくなります。一方で提出後も夫の遺産の相続権は維持され、遺族年金ももらえるので、選択肢の1つとして考える人が増えているようです」(林さん)

 死後離婚は増えているが、一度申請したら取り消しはできない。よくよく考えて決断したい。

※女性セブン2022年5月5日号

泉ピン子

雑誌のインタビューで「死後離婚」を語った泉ピン子

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