国内

狂犬病「清浄国」日本での現状 ワクチン接種会場では秋田犬が職員をガブリ

(時事通信フォト)

狂犬病ワクチンの接種会場で…(写真はイメージ、時事通信フォト)

 興奮状態に陥った体長1mを超える大型の秋田犬には、飼い主の持つリードは意味をなさなかった。容赦なく目の前にいる男性に飛びかかる。周囲はパニック状態に。後頭部をかまれた男性は、すぐに病院へと運ばれた──。

 4月20日、茨城県常陸太田市にある狂犬病ワクチンの接種会場で、受付担当の男性職員が、大型の秋田犬に頭をかまれるという騒動が発生した。その日、屋外駐車場で、獣医師2名・職員3名の体制で、50頭の犬に狂犬病ワクチンの接種をしていたという。

「男性職員は、後頭部の2か所を負傷しました。病院で、患部を消毒後に傷を縫合する処置が取られました」(社会部記者)

 狂犬病について、獣医師の伊東彰仁氏が解説する。

「通常、狂犬病ウイルスを保有する犬などにかまれることで感染し、ヒトの場合、発症から40日程度で死に至ります。ウイルスに神経が侵され、水や風を怖がるようになり、錯乱状態やまひを引き起こす。最終的には呼吸筋のまひで亡くなります。ひとたび発症すると100%死亡する恐ろしい病気です。一方、仮にウイルスが体内に入っても、すぐにワクチンを打てば助かる可能性はあります」

 こと日本においては、1956年を最後に発生例はなく、1957年には当該の伝染病が発生していない、または撲滅されたことを意味する「清浄国」に認定されている。

 だが、現在狂犬病はにわかに注目を集めている。背景はロシアによるウクライナ侵攻だ。日本が受け入れているウクライナ避難民のなかにはペットの犬を連れてくる人もいる。海外の犬が日本国内に入る場合、狂犬病にかかっていないことを示す証明書がないと、最長180日間動物検疫所で隔離されることが狂犬病予防法で定められている。

 しかし、避難民が証明書を用意するのは困難なうえ、隔離中の餌代や飼育費用も飼い主の負担となるため、配慮を求める声が殺到。これを受けて、農林水産省は4月15日、特例措置として、2回のワクチン接種や抗体検査、健康観察と報告、「ほかの動物と接触させない」といった条件のもと、飼い主とともに過ごして構わないという対応を取ることに決めた。

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン