悪名は無名に勝る、とは無名であるより悪名高くとも世に知られている状態のほうがずっと有利だという意味で用いられる言葉だが、今は、それがたとえ根拠がよくわからないものでもネットやSNSでの知名度に評価や収益が左右される側面があるのは事実だろう。政治の世界でもネットで注目を集めることに多大な労力を注ぐのが当たり前になった。ライターの小川裕夫氏が、ニコニコ超会議2022における政党ブースの様子についてレポートする。
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ニコニコ超会議2022が4月29、30日に千葉県千葉市の幕張メッセで開催された。ニコニコ動画は”ゲーム実況”や”歌ってみた””踊ってみた”など、ネットの新しいエンタメを生み出してきた。
超会議はクリエイターやファンが一年に一度、リアルの場で一堂に介するイベントとして人気を博しているだけではなく、ゴールデンウィークの定番行事として認識されるまでになった。
しかし、2020年と2021年は新型コロナウイルスの感染を防止するという観点から開催が中止。今回は3年ぶりの開催となったが、空白期間が生じたことでしきり直しを迫られることになった。
◆ニコニコ動画と政治の親和性
ニコニコ超会議は、過去に安倍晋三首相(当時)をはじめとする政治家が多く来場している。それらの政治家は政務として視察に来ているほか、党務として支持拡大にもつながようとする意図もある。いずれにしても、政治家の仕事の範疇に収まる。
政治家が”仕事”で来場していることは、ニコニコ超会議を楽しむ一般来場者から見れば鼻白む。しかし、なかには仕事の枠を超えて自身の趣味と見紛うように超会議を満喫する政治家もいた。