前身だったNHKから国民を守る党から一貫して、NHK党はネットを中心に支持を拡大してきた。しかし、「テレビに出る手段として政見放送を利用する」といったテレビに固執する発言からも窺えるように、NHK党は言外にテレビが訴求力の高い媒体であることを認めている。つまり、政権放送にガーシーを出すという戦略は、NHK党が埋没してしまうという危機感の発露にほかならず、それを回避するための術でもある。
現在の政治情勢は、地道に選挙区を回って有権者との信頼関係を積み重ねるよりも、とにかく「目立つ」「話題になる」ことが優位に働く。それはNHK党に限った話ではなく、他党でも同じだ。テレビに出まくっている政治家は親近感を抱いてもらいやすく、掲げる公約やこれまでの実績など関係なしに票を入れてもらえる。まさに、「悪名は無名に勝る」状況になっているのだ。
NHK党の戦略が奏功するのか? はたまた裏目に出るのか? それは、参院選の投票が終わらなければ判断できない。いずれにしても、奇襲作戦であることは否定できないだろう。