現在45歳の松尾陽介(撮影/黒石あみ)
──自分の本当の武器は何だと考えたんでしょうか?
松尾:それは“人との繋がり”ですね。芸人時代は飲み会に出すぎて何度も遅刻しちゃったんですけど(笑)、それで仲良くなった人が本当にたくさんいるんですよ。お酒飲んだらみんな友達だと思っているから、飲み会のときは「僕の連絡先これですから」ってスマホにLINEのQRコード表示したままテーブルに置いておきますもん(笑)。芸人以外の知り合いも多いし、その人脈を使って何かできるんじゃないかと考えました。
──謹慎を経て2019年9月、ザブングルが活動再開しました。
松尾:まもなくコロナ禍になって、芸人を一生やっていくべきか一層考えるようになりました。だから契約上の問題で、辞めることを决めつつ芸人をやっていた時期が1年くらいあるんですよね。
その間は、実はバーで働いていました。通っていたバーの店長さんが辞めると聞いて、じゃあ僕がやってもいいですかと。事務所抜きでお金を稼ぐことを勉強がてら試してみたかったんです。まだ芸人を辞めることを公には発表していませんでしたが、カウンターだけの小さなお店だったので、店では普通に引退することを明かしていました。今のビジネスパートナーである藤本も含め、そのバーから今の仕事に繋がるような出会いもけっこうありました。
「ザブングル松尾という“芸能人”に興味がある人は、芸人を辞めたら離れていくよ」と言われていましたが、幸いなことに知り合いが一気に減るようなこともありませんでした。今は芸人時代よりダイレクトに、人との繋がりという自分の武器を仕事に生かせている手応えがあります。