──引退後も『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「運動神経悪い芸人」には出演を続けていますね。
松尾:芸能界を引退したと言っても、オファーをいただければ出るつもりです。だから『アメトーーク!』には、運動神経が悪い一般人のおじさんとして出演しています(笑)。久しぶりにテレビに出ると反響がありますし、今の仕事的にもすごく助かります。
──現在のお仕事とテレビ出演をフラットに行き来しているんですね。正直なところ、一般人としてお仕事をしていて、「自分は全国区で活動していた」のようなプライドが邪魔をする場面はありませんか……?
松尾:それは全然ありません。だって僕、芸人としてはずっと“じゃないほう”でしたからね。レギュラー番組で毎週通っていたテレビ局でさえ、警備員に毎回止められていましたし、週刊誌の写真に写り込んだときも一般人だと思われて目に黒い線引かれていましたし……(笑)。街で全然気づかれないのを残念に思ったことも昔はあったかもしれないけど、相方がバレまくっているのを見ると、「これは気づかれないほうが楽だな」と。彼は何しても気づかれるから、見ていて可哀想になっちゃうんです。そういう意味では、僕らって極端なコンビでした。
加藤くんの顔って、一度見たら忘れないじゃないですか。ザブングルというコンビ名でわからない人でも、相方の写真を見せたら絶対に「知ってる!」となってくれるんですよ。それって僕の今の仕事的にもすごくやりやすいから、ありがたいんですよね。初対面でもひとつ安心してもらえるというか。だから今までやってきたことは全然無駄じゃないと感じています。