ライフ

注意すべきサプリメント 用法・用量を守っても過剰摂取になる可能性も

トラブルになった成分も(写真/GettyImages)

トラブルになった「プエラリア・ミリフィカ」などの成分も(写真/GettyImages)

 ダイエット、美容、目や関節の機能向上、さらには免疫力や記憶力のアップまで、ありとあらゆる効果をうたう商品が存在するサプリメント。ただ、飲み方によってはかえって健康を害する場合もあると、薬剤師の福井セリナさんは言う。

「栄養素の中には、体に蓄積しやすいものも多い。サプリメントは手軽に効率よく任意の栄養素を摂取できるため、一定期間継続してのみ続けると、過剰に摂った成分が体内で反応を起こすことがあります」(福井さん)

 特に気をつけたいのが、ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンだ。代謝の上限を超えて摂取すると、肝臓や脂肪細胞に蓄積され、さまざまな問題を引き起こしかねない。国際医療福祉大学病院教授で国際未病ケア医学研究センター長の一石英一郎さんは言う。

「ビタミンAは、適切に摂取すれば骨の健康維持に役立つとされます。ところが、過剰摂取するとむしろ骨折のリスクが高まるという報告がなされています。

 ビタミンDは、摂りすぎると下痢、嘔吐、食欲不振、イライラなどの症状が出るとされる。ひどければ、高カルシウム血症と同様の症状が出るとも示唆されています。

 ビタミンEには高い抗酸化作用があることがわかっていますが、米国の研究報告によれば、過剰に摂取すると寿命が短くなるといわれています」(一石さん)

 一方、ビタミンCやビタミンB群といった水溶性のビタミンも油断できない。「水溶性のビタミンは摂りすぎても尿として排出され、体にたまることはない」といわれるが、尿として排出されるということは、腎臓を介するということ。摂取しすぎて腎臓に負担がかかり、腎結石や腎障害を発症したという報告もある。実際に、香港で推奨量の8倍のビタミンCサプリメントをのんだ男性が腎不全になり、人工透析を受ける羽目になったという話もある。

 この「摂りすぎると」というのが実はクセモノだ。

「ビタミンなどの栄養素を代謝できる量は、個人差が大きい。どれくらいのむと過剰摂取になるのかは、線引きが難しいのです。特に、高齢者は注意が必要。加齢によって肝臓や腎臓の代謝機能が落ちるので、昔からのんでいるサプリメントでも、用法・用量を守っていても、過剰摂取になる可能性も考えられます」(福井さん)

 鉄分や亜鉛といった微量元素も、それ自体は人体に必須の栄養素。体内で合成することができないため、経口摂取しなければならない。ところが、摂取しすぎは逆効果だ。

「鉄分の過剰摂取は便秘や胃腸障害、亜鉛の過剰摂取は吐き気や下痢、食欲不振などの可能性がある。過剰摂取が続けば、ひどければ免疫力の低下や善玉コレステロールの減少なども起きかねません」(一石さん・以下同)

 2017年から日本医師会が注意喚起しているサプリメントの成分が、「プエラリア・ミリフィカ」。マメ科の植物の根からつくられており、タイなどでは古くから女性の更年期障害を緩和する薬としても使われている成分だ。

 女性ホルモンに強く働きかけることで、バストアップ効果などが期待できると人気を集めていたが、服用した多くの女性に腹痛や発疹などのほか、月経不順や不正出血などの報告が相次ぎ、2020年には厚労省によって「健康被害の発生を未然に防止する見地から特別の注意を必要とする成分等を含む食品」として指定された。

 どれだけ「健康・美容にいい」といわれていても、過信してはいけないのだ。

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト