国内

知床遊覧船を紹介したクレジットカード会員誌 見て旅行を決めていた男性の背筋凍る思い

4月23日に沈没したKAZUI(知床遊覧船HPより)

4月23日に沈没したKAZUI(知床遊覧船HPより)

 北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故では、今なお行方不明者の懸命な捜索活動が続いている。4月23日に乗客・乗員26人を乗せた観光船「KAZUI(カズワン)」が沈没した事故では、乗客14人が死亡。発生から2週間以上が経っても、12人が行方不明となったままだ。観光船を運行していた「知床遊覧船」では、事務所の無線や衛星携帯電話が使用できない状態だったなど、杜撰な実態も明らかになっている。そうした状況で、「自分もこの船に乗っていたかもしれないと思うと、ぞっとする」と語るのは、関西在住の元会社役員男性(75歳)だ。

「この夏、北海道に旅行して知床遊覧船の観光船に乗ろうと思っていたんです。宿泊先も知床遊覧船のグループのホテルにする予定だった。今回のニュースを見て、背筋が凍る思いです」

 そう語る男性が知床遊覧船でのクルーズを組み込んだ旅程を考えたのは、昨夏に送られてきた大手クレジットカード会社のゴールド会員向け会員誌の北海道特集のなかで、今回事故を起こした知床遊覧船と系列のホテルが紹介されていたからだという。男性が続ける。

「これまでも会員誌を見て旅行先を決めていました。去年は新型コロナウイルスの“第5波”があったので旅行はなしにして、1年後の夏に行こうと会員誌を残していたんです。ところが、今回の事故じゃないですか……。船体に亀裂が入っていたとか、緊急無線用のアンテナが折れていたであるとか、安全運航とはほど遠い会社だったと報じられている。会員誌で知床の宿として紹介されていたホテルも同じグループ会社のものでした。信用第一のクレジット会社の会員誌で紹介されていたのに……と驚きましたよ」

 男性の手元にある会員誌では、たしかに巻頭特集として北海道の魅力が18ページにわたって紹介されていた。知床・十勝・函館・札幌とエリアを分けて紹介する内容で、特集のトップで取り上げられているのが知床だった。世界自然遺産エリアにポツンと建っている知床遊覧船の系列ホテルの航空写真が掲載され、次の見開きにはカムイワッカの滝の近くを航行する遊覧船を空から捉えたカットやヒグマが海岸を歩いている写真などが紹介される。

 文章では〈知床の豊かな大自然を体感するなら海上からがお薦めだ。ウトロ港を出発した遊覧船は断崖絶壁の海岸線に沿って走る〉〈途中、フレペの滝、カムイワッカの滝などの名所を越え、船はルシャ湾に入る〉といった文章があり、知床遊覧船の連絡先や料金が記されている。その次のページには〈世界自然遺産エリア内の1軒家〉として、系列ホテルが紹介され、やはりホテルの連絡先と料金が掲載されている。

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン