だからといって、老練な二階氏が簡単に安倍氏と手を組むとは限らない。前出の野上氏が語る。
「政治的遺恨というなら、二階氏と菅氏は、昨年の総裁選で岸田首相の菅・二階下ろしを裏で支持した安倍氏のことも信用していない。アベノミクス転換をめぐって安倍派と主流3派が激しく争うほど、キャスティングボートを握る二階氏の影響力が強まり、菅勉強会にも人が集まる。
夏の参院選は自民優位と見られているが、コロナの再拡大や物価がさらに上昇して国民生活に大きな影響が出れば、いつ情勢が自民苦戦になるかわからない。そうなれば岸田政権の先行きは危うい。二階氏は当面、洞ヶ峠を決め込み、情勢をよく見ながら、最後に流れを決めるつもり。そうして副総裁などで復権することを視野に入れているのではないか」
どんな状況でも権力を諦めない、まさに“不死身の政治家”である。
※週刊ポスト2022年5月27日号