国内

岸田派ら主流3派と安倍派の対立で強まる二階俊博氏の影響力「副総裁で復権」はあるか

安倍氏、麻生氏、菅氏は何を思うか(時事通信フォト)

安倍氏、麻生氏、菅氏は何を思うか(時事通信フォト)

 岸田政権において、かつての威光は消えてしまったかのように見えるのが二階俊博・元幹事長。だが、自民党内の対立を機に、水面下では虎視眈々と復権の時を狙っている。日韓関係の修復のため、観光業界に声をかけて1000人規模の訪問団を編成する準備を進めているともされる。また、業界団体からの陳情の来客は今も引きも切らない。

 そんな二階氏に勝負の舞台が用意されようとしている。国民の関心がウクライナ情勢に釘付けになっている中、自民党では「金融緩和・財政拡大」のアベノミクス路線の継続か、それとも「利上げ・財政再建」へと転換するかをめぐって、岸田首相と安倍晋三・元首相の大決戦が水面下で始まっているからだ。国民生活と政権の命運にかかわる今後の政局の最大の焦点といっていい。

 発端は物価急騰だった。

 ロシアのウクライナ侵攻で石油など資源価格が上昇し、世界的に物価が高騰、米国は大幅利上げに転じた。だが、黒田東彦・日銀総裁は「円安は日本経済にプラス」と金融緩和路線をとり続けている。その結果、さらに円安が進行し、国内の物価上昇に拍車をかけた。

 これを岸田政権は「悪い円安」(鈴木俊一・財務相)と批判し、アベノミクスの中核でもある黒田総裁の金融緩和路線の転換に乗り出した。手始めに行なったのが、日銀の金融政策を決定する政策委員の人事だ。

 現在、日銀政策委員会(9人)の顔触れは黒田総裁を含めてアベノミクスの金融緩和路線を推進してきたリフレ派が5人と過半数を占めているが、今年7月23日にリフレ派の論客として知られる三菱UFJリサーチ&コンサルティング出身の片岡剛士氏の任期が切れる。岸田首相はその後任に反リフレ派(財政再建派)の高田創・岡三証券グローバルリサーチセンター理事長を指名、国会承認(3月25日)を得た。これで7月から政策委員会の勢力はリフレ派が少数となる。金融界では「官邸が黒田路線を転換、利上げに転じる布石を打った」(金融エコノミスト)と受け止められている。

 自民党内でもそれに呼応する動きが起きた。

 アベノミクス否定派(転換派)の牙城となっているのが岸田首相(総裁)直属の「財政健全化推進本部」で、“財務省の守護神”と呼ばれる麻生太郎・副総裁が最高顧問、本部長は茂木派の額賀福志郎・元財務相など岸田派、麻生派、茂木派の主流3派が中心だ。この2月には茂木派のプリンセス、小渕優子氏を小委員長に「次世代のための財政戦略検討小委員会」を立ちあげて若手議員への勢力拡大に乗り出し、小委員会メンバーの後藤田正純氏がSNSでアベノミクス批判を延々と展開した。

 これに激怒したのが安倍氏である。

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン