ファットバイクで疾走
あるインタビューで、そう語っていた大森は、俳優としても「大作映画に出てホームランを打つよりも、バントで出たつもりが二塁まで行ってしまうとか、そういう方が理想なんです」と話す。
「今や大物俳優の仲間入りを果たした大森さんですが、彼は“大型作品にしか出ない”などの奢りを感じさせません。売れっ子にありがちなスタンスですが、彼はそれを絶対にやらない。むしろ、小規模な舞台でも低予算の映画でも自分が楽しいと思えればチャレンジしたい、そんな姿勢がある。あの幅広い演技力は、そういう彼の考えが影響しているのでしょう」(映画関係者)
悪役を極めた父の麿と、低予算映画『さよなら渓谷』で、女優真木よう子(39才)を日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に導き、ブルーリボン賞監督賞を受賞した兄の大森立嗣(51才)、そして自身を振り返り「カウンターカルチャー好きは、大森家の血ですね」とも言い切る。
自他共に認めるバイプレイヤー気質の大森は、今後もそんな味のある存在感を放ち続ける。この夜に自転車で帰宅する後ろ姿にも、そんな残り香が漂っていた。