国内

文科省教育の限界 「答えがない時代」の教育のあり方とは

教育の大改革には一刻の猶予もない(イメージ)

教育の大改革には一刻の猶予もない(イメージ)

 新型コロナ禍では、学校教育も多大な影響を受けた。感染拡大中は対面授業が制限され、リモート授業を余儀なくされたところも多い。その一方で、生徒1人につきパソコン1台を導入するGIGA(ギガ)スクール構想が実施され、オンライン学習が広まりつつある。だが、ツールが進化する中で、文部科学省が主導する学校教育の中身はどれほど“アップデート”されたのか——。国際バカロレア資格認定校からリカレント教育まで、人材育成に力を注いでいる経営コンサルタントの大前研一氏が、21世紀教育のあり方について解説する。

 * * *
 日本の教育というのは、明治維新から戦後にかけては欧米に答えがあり、それに追いつき追い越せということでやってきました。答えのある世界で、早くその答えを覚えて、消化して、実行していくという教育です。その方向性の中で、工業化社会や大量生産・大量消費を前提としながら、比較的グレードの高い人たちを大量につくっていくという教育制度でした。

 ところが、21世紀になると、まるで違う状況が生まれました。欧米にも答えがないのです。誰も答えを持っていません。そういう状況に置かれて、いったいどうすればいいのかということになりました。

 これは答えを見つけていく、あるいは、答えを考え出していけるような教育をしなくてはなりません。時あたかも、デジタルトランスフォーメーション=DXの時代になり、世界中のありとあらゆるものがネットでつながる中で、答えがない状況をどう打開していくかが問われています。

 こういう問題に対して、実は文科省自体が答えを見いだすことができていないのです。

“5円の知識”を教科書どおり教えてどうする

 具体的な問題点は拙著『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』に詳述していますが、今の文科省の教育を見ていると、2つ大きな問題があると思います。

 1つは、明治以来の160年の教育制度というものを抜本的に改革していかなくてはいけないという危機感がないことです。21世紀の教育は、ゼロベースで構築しなくてはなりません。答えが先進国にもない時に、どうやって答えを見つけ、答えを考え出すのか、そういうふうな時代に合った教育はどうあるべきかということを、文科省の官僚たちは考えたことがないのだと思います。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト