さらに、OECD各国の比較データを見ると、教育に対する公的支出(対GDP比)は、OECDの平均が4.9%に対して、日本は4.0%で、36か国中27位の低水準にとどまっています(2020年時点)。とくに小学校から高校までの公的支出は2.6%で、ほぼ世界最低レベルとなっています。
私は30年近く前から、このまま行くと日本は、400年もの長期衰退が続くポルトガルやスペインと同じ運命をたどることになると警鐘を鳴らしてきました。当時はまだ、そこまで深刻になるとは誰も予想していませんでしたが、現実はもっと深刻です。
最近のGDP成長率を比べてみると、日本はポルトガルやスペインと同じか、むしろ低くなっています(図表4参照)。
今すぐ教育で大改革しない限り、これよりも没落すると思います。なぜかと言えば、教育改革というのは20年かかります。すなわち、いま高校生を教えてから、35歳で活躍するころになるまで20年かかるのです。よくて20年で、下手をすると、もっとかかるかもしれません。教育改革の重要性・緊急性はどれほど強調しても、しすぎることはありません。
※大前研一『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』(小学館)より一部抜粋・再構成