不運その4──4月8日が「金曜日」だった
問題が起きた4月8日が金曜日だったことも、問題がこじれた原因だったといえるのではないだろうか。
「土日も田口容疑者と連絡を取っていて、12日(火)に弁護士と相談する旨の説明があったので、11日と12日は様子を見ていました。ですが、13日(水)になっても音沙汰がないので、(田口容疑者の)お母さんに連絡して、息子さんを説得していただけないですか、とお願いしたんです」
仮に、翌日も役所や銀行が開いている平日だったら、時間をおかず一緒に銀行を訪れることができた可能性はある。だが、週末の間にも、金は動いていた。
明らかになっている田口容疑者の出納記録によれば、4月8日の当日に、67万円あまりを「デビット決済」で移動。その後、4月10日(日)には、デビット決済などで250万円あまりが、翌11日には900万円以上が移動され、すでに残金は3386万円になっていた。それだけでも返していれば──とも思えるが、ギャンブルで失ってしまったのが本当だとしたら、もう冷静ではいられなかったのかもしれない。
多くの不幸な偶然が重なった、今回の一件。中野副町長は「誤振り込みの非は、私たち町にある。それは心から謝罪します。ただ、お金を返していただけたら、それでいいんです」と繰り返した。
(了。前編から読む)