細田博之・衆院議長に国から支給される金額
岩井氏によると、議員歳費は「労働の対価」だが、国会に出席しなくても支給される。
では、議長はどんな仕事に対して報酬を得ているのか。議長は委員会には所属しないため国会会期中も委員会審議には出席しない。
国会での仕事はもっぱら本会議で「内閣総理大臣 岸田文雄君」などと答弁者や質問者を指名することだ。与野党対決法案などで審議が紛糾した場合に議長が調停案などを出す場合もあるが、近年はそんな場面はほとんどない。それでも議長にヒラ議員よりはるかに高い歳費が支給されるのは、憲法で「国権の最高機関」と定められた国会のトップとしての立場と責任の重さが反映されているからだ。
三権の長の中で総理大臣は国会の指名、最高裁長官は内閣の指名の後、親任式で天皇から任命される形式を取る。だが、衆参議長の任命者は天皇ではない。国民の代表である立法府を代表する者として、国民から権威が与えられているからだ。
「細田さんは議長の立場をあまり理解されていないようにも見えます。『100万円しか』発言は多くの議員の気持ちを代弁したつもりかも知れないが、議長は〝国会議員の代表〟ではなく、国民の代表の頂点に立つ立場。そういう発言をすること自体、議長の自覚を欠いているとしか思えない」(岩井氏)
企業経営者であれば、会社の利益を増やせば報酬をもっと上げろという権利がある。しかし、税金で高額の報酬を得ている国会の議長が「議長の給料が安い」と言うのは、それこそ国権の最高機関の権威にも関わる重大発言なのだ。
※週刊ポスト2022年6月3日号