西山を名乗る男から送られたメッセージ【1】
正式に話を進めると伝えられた玲奈さんは、その後西山が定宿にしているという銀座のビジネスホテルに度々呼び出された。目の前で西山が「副社長」に電話をかけることもあったという。
玲奈さんは、9月初旬にある指示を受けた。
「『CA職は採用にあたって素行調査をするうえ、縁故の場合は調査がもっと厳しくなる。いまの店は辞めて、彼氏とも別れたほうがいい』と。航空業界では昔から採用段階で素行調査の慣習があると説明されました。
私には当時3年間交際していた男性がいたのですが、ある日『昨日彼氏のマンションに入っていったと調査会社から報告があった』と西山から連絡があったんです。マンションの住所も割り出され、その日の私の服装まで言い当てられて本当に恐ろしかった。内定はもちろん、彼氏に被害があってはいけないという思いもあり、私から適当な理由をつけて別れました」
しかしその後も西山の要求は止まらず、9月中旬に悲劇は起きた。
「部屋のソファで『君は素行が悪い』『このままだとX社に入れない』などと罵られ、体がこわばって動けなくなってしまいました。そのうえで西山は『ここまで手間をかけさせておいて、拒むことは許されない』と、私に肉体関係を求めてきたんです。キスされ服を脱がされ、私は抵抗することができず、現実のことかもわからないようなうわの空で、されるがままだった。
西山は避妊をしませんでした。私にとっては悪夢のような時間でした。我に返り、逃げるように部屋を出て、アフターピルを処方してもらいに婦人科に駆け込みました」
(後編に続く)
※週刊ポスト2022年6月10・17日号