芸能

“怪演女優”松本まりか、「可愛らしさも怖さも思うままに出せる」評

松本まりか

「怪演女優」と呼ばれる松本まりか

 今、もっとも注目を集める女優のひとりが松本まりか(37才)である。最近ではコメディ作で幽霊役を演じるなど幅広い役を演じている。そんな松本の魅力についてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 今月公開の『映画 妖怪シェアハウス~白馬の王子様じゃないん怪』と『極主夫道 ザ・シネマ』。二作品の共通点といえば、連続ドラマから劇場版になったコメディであること、そして、松本まりかが出演していることだ。

『妖怪シェアハウス』のまりかは、「四谷怪談」で有名な幽霊お岩さん。人生崖っぷちの主人公・澪(小芝風花)を溺愛し、シェアハウスのおばさん座敷童(池谷のぶえ)、ぬらりひょん(大倉孝二)、酒呑童子(毎熊克哉)とともに何かと世話を焼く。現世で「四谷伊和」と名乗り、ナースとして働く彼女のトレードマークは、三角の眼帯と「うらめしや~」の手のポーズだ。

 一方、『極主夫道』のまりかは、元極道でクレープ屋の虎二郎(滝藤賢一)の妹で「広島連合総長、虎春参上!」なんてことを言っちゃう元レディースの虎春。映画では、“最凶の極道”と言われたが、今は主夫として家事を極める龍(玉木宏)の男気に惚れて、龍の妻(川口春奈)とバトルを繰り広げる。

 お岩さんと元レディース。まったくキャラクターが違うようだが、似たところもある。どちらも恋には一途で、暴走気味。そして、怒ると怖い。

 ドラマ『妖怪シェアハウス』では、第一話でいきなり、澪に金を貢がせ騙した男に怒りが爆発。おどろおどろしい妖怪顔になって「呪い殺す!!」と言い出し、妖怪仲間までもビビらせた伊和。先日のドラマ最終話では、若者の才能を食い物にした悪プロデューサー(六角精児)に「きっちり落とし前、つけちまいな!!」と澪の背中を押すのだ。また、虎春は、「龍が好きだー」と宣言したかと思えば、鋭い目つきで「おまんら、許さんぜよ!」「挽肉にしちゃるけーの!」と広島弁ですごんだりする。なかなかの迫力だ。

 面白いのは、お岩さんは怒ると首をかしげて斜めになって、上目遣いで呪いモードになる。虎春は体を傾けながら、ぐいっと下から相手をにらんで、レディースモードになる。つまり、「松本まりかは斜めになると怖い」のである。

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