巨大な相撲部屋(時事通信フォト)
「相撲部屋の“経営”は困難な点が様々あります。必要経費のなかで言うと、ちゃんこ代もさることながら光熱水費で行き詰まることがある。大人数の力士が生活することでかかる水道代や光熱費は半端ではない。高砂一門のある部屋では、大部屋でのコンセントの個人的な使用を禁止しているところもあります。テレビやオーディオ機器の個人使用を制限し、携帯電話の充電も決まったコンセントでやるように決めている部屋もある。その観点から二所ノ関部屋を見ると、土俵が2面もある稽古場や各個室の空調費はかさむし、文字通り湯水のように使われる風呂を2つも備えていると、それらの維持費は相当、大変になるはずです」
現在は、尾車部屋から独立した中村親方(元関脇・嘉風)が二所ノ関部屋の部屋付き親方となり、内弟子を連れて合流している。ただ、将来的には中村親方も独立して部屋を構えるとみられている。
「そうなると、今の二所ノ関部屋に所属する力士18人のうち幕下4人を含む10人が部屋からいなくなる。今春に入門した日体大からの新弟子2人も中村親方の内弟子です。残る力士の最高位は序二段ということになるが、序二段以下の力士8人だけでは“箱”が大きすぎるのではないか。今は中村親方がいるから、師匠2人で指導するなら土俵が2面あってもいいかもしれないが、親方が1人になったら稽古土俵は1面でないとケガも怖い。
台所事情も苦しくなるはずだ。もちろん、部屋を興せば協会からは親方の給料の他に経費が支給される。まずは力士養成費。これは力士の食事代にあたるもので幕下以下の力士1人につき毎月7万円。その他にも力士の人数に応じて稽古場経費や相撲部屋維持費などが支給されます。力士が5~6人もいれば相撲部屋の運営はなんとかなるといわれているが、これだけ大きな建物を作ってしまったとなると、維持費は大変でしょう。部屋のHPではスポンサー(後援会の法人会員)を募集しているが、どれだけ集まるかが注目されます」(同前)
部屋運営の手腕が試されることになりそうだ。