2019年11月には尼崎の商店街で神戸山口組の幹部が六代目山口組組員によって軍用自動小銃で射殺されている。事件直後の現場検証の様子(写真/共同通信社)

2019年11月には尼崎の商店街で神戸山口組の幹部が六代目山口組組員によって軍用自動小銃で射殺されている。事件直後の現場検証の様子(写真/共同通信社)

 だから山口組の分裂抗争が終結するかどうかは、ひとえに井上組長の決断に懸かっている。井上組長が組織を解散し、六代目側に詫びれば、おそらく山口組の分裂抗争は終結する。

 六代目山口組の司組長は80歳という年齢からは考えられないほどパワフルでも、ナンバー2の高山清司若頭には健康面での不安が拭えない。山口組は創設から100年の節目に分裂し、これまで積み重ねてきた暴力的威嚇力を毀損し続けてきた。彼らが戦っているのはかつての身内であり、分身を叩いているに等しい。ここまで勢力に差が出れば、もはや抗争を継続する意義も薄い。

後編に続く

【プロフィール】
鈴木智彦(すずき・ともひこ)/1966年、北海道生まれ。フリーライター。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『サカナとヤクザ』『ヤクザときどきピアノ』など。

※週刊ポスト2022年7月1日号

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