だから山口組の分裂抗争が終結するかどうかは、ひとえに井上組長の決断に懸かっている。井上組長が組織を解散し、六代目側に詫びれば、おそらく山口組の分裂抗争は終結する。
六代目山口組の司組長は80歳という年齢からは考えられないほどパワフルでも、ナンバー2の高山清司若頭には健康面での不安が拭えない。山口組は創設から100年の節目に分裂し、これまで積み重ねてきた暴力的威嚇力を毀損し続けてきた。彼らが戦っているのはかつての身内であり、分身を叩いているに等しい。ここまで勢力に差が出れば、もはや抗争を継続する意義も薄い。
(後編に続く)
【プロフィール】
鈴木智彦(すずき・ともひこ)/1966年、北海道生まれ。フリーライター。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『サカナとヤクザ』『ヤクザときどきピアノ』など。
※週刊ポスト2022年7月1日号