共通しているのは、その症状が長続きしないということだ。
「突然症状が現われて、5~10分ほどすると目の状態が回復します。早い人では数秒で収まることもあり、『多分大丈夫だろう』と放置されがちです。しかしその後、脳に思わぬ症状が現われて死に至ることがあるのです」(平松医師)
正式名称は「一過性黒内障(アマユローシス・フューガクス)」。一時的に目の血管に血栓などが詰まることで生じる疾患だ。
広く知られた脳梗塞の前兆として、一時的に脳に血液が流れなくなり短時間、半身が痺れたり呂律が回らないといった症状が現われる「一過性脳虚血発作」があるが、黒内障もそのひとつに数えられる。
愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター長で医師の伊賀瀬道也氏が語る。
「一過性脳虚血発作を治療せず放置すると、3か月以内に10~15%が脳梗塞を発症するというデータがあります。黒内障も放っておいてはいけないということです」
※週刊ポスト2022年7月1日号