ライフ

「結婚式の加害性」炎上騒動から何を学ぶべきか 落とし穴にはまらないための3つの教訓

結婚の過程もさまざま

結婚の解釈もさまざま

 SNSでの振る舞いが実生活に影響しうることはもはや言うまでもない。が、ついつい口がすべってしまうタイプの人は少なくないのではないか。コラムニストの石原壮一郎氏が指摘した。

 * * *
 ツイッターでは今日も不毛なバトルが繰り広げられ、その不毛さによって私たちにたくさんのことを教えてくれます。先日も、いかにもツイッターらしい騒動がありました。

 6月下旬、数日にわたって「結婚式の加害性」という言葉が、多くのユーザーが話題にしている「トレンドワード」として注目を浴びます。その言葉にカチンときた人が「結婚式に加害性を見出すなんて歪んでる!」「勝手に被害者意識を抱くな!」と激しく非難。さらに、そんな様子を見た人が「結婚式の加害性なんて言ってるヤツがいるのか。どうせ結婚できないヤツの妬みだろ。欠席すればいいじゃないか!」と次々に乗っかりました。

 炎上騒動を何となく見ていた人は「なるほど、ナイーブな人が増えたんだな。ますます世知辛い世の中になったな」という印象を受けたでしょう。しかし、元になったツイートをたどってみると、ぜんぜんそういう話ではないことがわかります。

「結婚式には加害性があるんだから(傷つく人がいるんだから)やるべきではない」なんて、誰も言っていません。ただ「結婚式その他祝賀行事には原理的にすべて加害性があるんだから、誰も傷付けたくなければすべて中止するほかないが、そんなことは不可能なので覚悟を持つかどうかの問題でしかない」と書いている人はいました。

 同性婚が認められなかったことを残念に思う話の流れのツイートで、つまりは「人は社会の中で、お互いの行為にいろんな感情を抱く。意図せず傷つけることもある。そのことは覚悟した上で配慮や謙虚さを忘れずに生きていきたいものだ」と言っています。

 ひじょうに大切かつ納得できる視点であり、叩かれなきゃいけない理由はどこにも見当たりません。しかし「結婚式の加害性」という悪意を込めて要約されたワードが独り歩きしてしまいました。元のツイートを書いた人のアカウントは、6月30日現在、見つけることができません。気の毒なことに、アカウントを消してしまったようです。

 今回の騒動は、喜び勇んで加害性を攻め立てている人たちのほうが、よっぽどタチが悪くて迷惑な加害性に満ちていたことを示したという皮肉な展開になりました。私たちは、この騒動から何を学べばいいのか。SNSだけでなく実生活でも、よく確かめもしないで「非難しやすそうなところを攻撃して偉くなった気になっている人」はたくさんいます。

 そんな場面を目の当たりにしたりそんな人に遭遇したりしたときに、そして自分が同じ落とし穴にはまらないために、次の3つの教訓を胸に刻んでおきましょう。

その1「インパクトの強い言葉に飛びついて騒ぐと恥をかくことになる」
その2「世間で極悪人扱いされていても、その人に非があるとは限らない」
その3「熱くなって何かを批判している人には、何を言っても無駄である」

関連キーワード

関連記事

トピックス

炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン