通信障害に関して説明するKDDIの高橋誠社長(時事通信フォト)

通信障害に関して説明するKDDIの高橋誠社長(時事通信フォト)

 おっしゃる通り、KDDIの高橋誠社長と吉村和幸技術統括本部長、森敬一ソリューション事業本部長は技術畑として会見で適切に答えていたと思う。むしろ一部新聞社および放送局記者のどこか他罰的かつ不勉強な質問のほうが恥ずかしく思った。専門誌やテクニカル系のフリーランスはさすがだったが、それに比べて繰り返し復旧の具体的日時を答えるように迫るなどしたNHKはどうかと思う。そういった質問にも、彼ら元「技術屋」は輻輳(ふくそう)を含めた過去の経験を踏まえたテクニカルな回答をわかりやすく続けた。もちろんその場で復旧時期の約束など無責任に即答できるわけもなく、繰り返される同一の質問にも粘り強く回答したように思う。別のauユーザーである40代グラフィッカーの話。

「私も困りましたけど、仕方のないことですからね。自分の当たり前は誰かの努力で当たり前になっているんですから」

 昔から口数は少ないが核心を突く彼の言葉にはうなずくしかないが、「自分の当たり前は誰かの努力で当たり前になっている」はいい言葉だと思う。私たちは乗り物も宅配も当たり前に自分を運び、当たり前に自分のところに物が届くと思っている。その点は筆者も『現場の配送員が明かす「再配達の有料化」がそのうち避けられなくなる理由』で書いたが、私たちの当たり前は誰かの努力で支えられている。今回も「当たり前に通じるはずの」スマホが使えなかった。通話が繋がらなかった。インフラとはそういったもので、だからこそ責任重大かつ絶対に事故、障害を起こしてはいけないのだが、それでも人間がすることである。法爾道理のヒューマンエラーに「絶対」はない。

「まあ、auのファンであることは隠しませんがね。でもそれで贔屓しているわけではないですよ」

 auは元々IDO(日本移動通信、イドー)とDDIセルラー(第二電電、セルラー)が母体となっているが、筆者も1994年にIDOのT202(国際電気)を買ったのが最初の携帯電話だった。携帯電話はまだ高額で現在ほどは普及しておらず、22歳の自分にはどこか誇らしかったことを覚えている。当時の出版社の先輩は同じくIDOのT206(ソニー)で、あのころIDOを選んだ私たちは反NTT、いわゆる「みかか」とパソコン通信で呼ばれていた当時の旧電電公社、NTTグループの独占と高額な従量制による回線使用料への反発もあったし、当時の絶対強者NTTの「NTTドコモ」(当時、ドコモは社名でなくエヌ・ティ・ティ移動通信網のブランド名だった)ではなくIDOやセルラーを選ぶのは「どことなくマニアック」な気分もあった。あくまで筆者の感覚だが、古くからのauユーザー、IDOやセルラーにはテック系の支持者、愛好家も多かったように思う。

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