安倍政治の継承めぐり内紛
宮澤喜一と同じ轍
岸田首相もそうした“未来”を警戒しているようだ。安倍氏の葬儀当日(7月12日)、読売新聞朝刊は、秋にも行なわれると見られる内閣改造で、「反岸田」勢力の旗頭である菅氏を副総理に迎える案が政府内で浮上していると報じた。“事前に反乱の芽を摘んでおこう”という岸田首相の思惑が丸見えだ。
もし、菅氏が副総理就任を蹴れば、自民党内には政局を予感して激震が走るはずだ。
かつて似た状況があった。宮澤喜一政権下の1992年、時の自民党最大派閥・竹下派の会長で“政界のドン”と呼ばれた金丸信・副総裁が不祥事で議員辞職すると跡目争いが激化。最大派閥の分裂が引き金となって自民党から離党者が相次ぎ、宮澤首相は事態を収拾できないまま総選挙で過半数割れして退陣、非自民連立の細川政権の誕生という政界再編につながった。
奇しくも、岸田首相はその宮澤氏以来、30年ぶりの宏池会(現・岸田派)出身の首相だが、“政界のドン”の死は岸田氏に宮澤氏の轍を踏ませることになるかもしれない。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2022年7月29日号