石井氏の事務所のようになっている車両リース支払先
「全部石井さんのもの」
「茨城維新の会」代表でもある石井氏の地元事務所は茨城県取手市のJR藤代駅にほど近い幹線道路沿いにあった。
ワンフロア200平米近いコンクリート2階建ての建物全部が事務所だ。2階の全面ガラスには石井氏のポスターが何枚も貼られている。
石井氏の政党支部の政治資金収支報告書によると、事務所費の項目に「借料損料」、つまり家賃として毎月5万8000円(年間69万6000円)がサンコーポレーションなる会社に支払われている。原資は党本部からの政党交付金(税金)だ。
取材を進めると、奇妙な事実がわかった。
登記簿謄本では、もともとこの事務所の土地・建物は石井氏が2015年に購入し、翌年にサンコーポレーションに売却した。石井氏はかつて同社の役員を務め、事務所の不動産を購入した当時の取締役A氏(故人)は「石井氏の秘書だった」(元事務所スタッフ)という。
石井氏は自分の所有していた不動産を秘書が経営する会社に売却し、その後も家賃を支払って借りていることになる。
どういう事情なのか。取材班は経緯を聞くため同社の本社所在地を訪ねて驚いた。
そこにはところどころ丈の高い雑草が茂った敷地に小さな白いプレハブの建物が建ち、「石井めぐみ事務所」の看板があった。取手市議を務める石井氏の実娘の事務所だったのだ。
次に近所に住む同社の現取締役B氏の自宅アパートを訪ねた。ちょうど、B氏が自転車で帰宅したところだった。
「サンコーポレーションも、何もかも全部石井さんのものですよ、実質は。(前取締役の)Aさんも石井さんに面倒を見てもらっていた。私は名義貸しというか、そんなもの。議員だから自分で(社長を)いろいろやるわけにはいかないんでしょう」
B氏は名前だけの取締役で、サンコーポレーションの実質的な経営者は石井氏だというのである。会社の経理にもタッチしていないようだった。
なぜ、石井氏は所有していた事務所の不動産を、実質的に自分が経営する会社に売却し、家賃を支払って借りるという仕組みを取ったのか。