スポーツ

追悼・37代木村庄之助「亡くなる3日前」に語っていた式守伊之助「まわし待った」騒動への見解、そして行司の仕事への誇り

突然の訃報だった(真剣な表情で取組を裁いている写真は2012年当時のもの。時事通信フォト)

突然の訃報だった(真剣な表情で取組を裁いている写真は2012年当時のもの。時事通信フォト)

 7月26日、日本相撲協会は立行司である37代木村庄之助を務めた畠山三郎さんが22日に慢性間質性肺炎のため自宅で亡くなったと発表した。72歳だった。本誌・週刊ポストは亡くなる3日前に畠山さんの自宅で取材し話を聞いていたが、その直後の訃報となった。畠山さんはその日の取材で、名古屋場所中日の結びの一番である照ノ富士-若元春戦で、立行司の式守伊之助が「まわし待った」をかけた取組について、見解を語っていた。

 取材当日に妻・静子さんが案内してくれたリビングで、畠山さんは横になった状態でNHKの相撲中継を見ていた。「足が痛くて座れないんだ。悪いね」と言いながらも、笑顔で記者を迎えてくれた。

 2か月前の夏場所中にも、畠山さんが2015年に退職して以降、行司の最高位にあたる「木村庄之助」が7年間不在となっていることについて話を聞くために自宅にお邪魔した。その時も畠山さんは同じように横になった状態で話をしていたが、今回のほうが声を出しにくくなっているように見えた。

 取材の主題であった名古屋場所中日の結びの一番では、若元春のまわしが緩んでいたことから、行司である式守伊之助が「まわし待った」をかけたが、その声かけに気づかなかった若元春が力を抜いた照ノ富士を寄り切ってしまうという事態が起きた。

 佐渡ヶ嶽審判長らが土俵上に集まり、2分半の長い協議の末に元の体勢から再開することが決まった。再開後、わずか9秒で若元春が下手投げで敗れた。この一番について畠山さんはこう語っていた。

「審判規定には“行司は動きを止めて、(まわしを)締め直させることができる”とある。だから『まわし待った』をかける判断自体は間違っていなかった。土俵下の審判からも“まわし”の声が掛かったのではないか。ただ、まわしが緩んでも力士が動いている時は止めない。そのタイミングが少し遅れたんだろうが、止める時は思い切って止めないといけない。

 問題はどこから再開するかということだったと思う。動いていたのだから(まわし待ったがかかった瞬間は)誰にもわからない。照ノ富士が左で取っていたのは1枚まわしだったが、再開後はしっかりとつかんだ左下手で(若元春を)転がした。まわしを締め直すのだからそうなる。

 本来、まわし待ったをする時は、両者分かれての『水入り』と違って土俵上で組み合った状態で締め直す。そのため元の体勢のまま再開できるが、今回は動いてしまっていた。審判部長が土俵上でビデオ室と連絡を取って再現しようとしていたが、動きがあったらからどの形から再開するのが正しいかわからない。他の審判が指摘することもできない。蹲踞(そんきょ)からやり直してもよかったのではないか。審判部の判断だから何とも言えないが、その選択もあったと思う」

関連キーワード

関連記事

トピックス

「鴨猟」と「鴨場接待」に臨まれた天皇皇后両陛下の長女・愛子さま
(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《ハプニングに「愛子さまも鴨も可愛い」》愛子さま、親しみのあるチェックとダークブラウンのセットアップで各国大使らをもてなす
NEWSポストセブン
SKY-HIが文書で寄せた回答とは(BMSGの公式HPより)
〈SKY-HIこと日高光啓氏の回答全文〉「猛省しております」未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し、自身のバースデーライブ前夜にも24時過ぎに来宅促すメッセージ
週刊ポスト
人の出入りが多く流行っていたという火災があったサウナ店
《夫婦が閉じ込められ…》月額39万円の高級サウナ店での火災でサウナーたちに広がる不安 彼らはなぜ\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"避難シミュレーション\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"を議論するのか
NEWSポストセブン
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《独占スクープ》敏腕プロデューサー・SKY-HIが「未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し」、本人は「軽率で誤解を招く行動」と回答【NHK紅白歌合戦に出場予定の所属グループも】
週刊ポスト
世間を驚かせたメイプル超合金のカズレーザー(41才)と二階堂ふみ(31才)の電撃“推し婚”
【2025年・有名人の結婚&離婚を総決算】何かと平和な「人気男性タレントと一般女性の結婚」、離婚決断が女性からの支持につながった加藤ローサ
女性セブン
米倉涼子
《米倉涼子の自宅マンション前に異変》大手メディアが集結で一体何が…薬物疑惑報道後に更新が止まったファンクラブは継続中
火事が発生したのは今月15日(右:同社HPより)
《いつかこの子がドレスを着るまで生きたい》サウナ閉じ込め、夫婦は覆いかぶさるように…専門家が指摘する月額39万円サウナの“論外な構造”と推奨する自衛手段【赤坂サウナ2人死亡】
NEWSポストセブン
自らを「頂きおじさん」と名乗っていた小野洋平容疑者(右:時事通信フォト。今回の事件とは無関係)
《“一夫多妻男”が10代女性を『イヌ』と呼び監禁》「バールでドアをこじ開けたような跡が…」”頂きおじさん”小野洋平容疑者の「恐怖の部屋」、約100人を盗撮し5000万円売り上げ
NEWSポストセブン
ヴァージニア・ジュフリー氏と、アンドルー王子(時事通信フォト)
《“泡風呂で笑顔”の写真に「不気味」…》10代の女性らが搾取されたエプスタイン事件の「写真公開」、米メディアはどう報じたか 「犯罪の証拠ではない」と冷静な視点も
NEWSポストセブン
来季前半戦のフル参戦を確実にした川崎春花(Getty Images)
《明暗クッキリの女子ゴルフ》川崎春花ファイナルQT突破で“脱・トリプルボギー不倫”、小林夢果は成績残せず“不倫相手の妻”の主戦場へ
週刊ポスト
超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”だった高橋麻美香容疑者
《超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”の素顔》「白血病が再発して余命1か月」と60代男性から総額約4000万円を詐取か……高橋麻美香容疑者の悪質な“口説き文句”「客の子どもを中絶したい」
NEWSポストセブン