国内

安倍政権時代に変化した旧統一教会と自民党の関係 特定秘密保護法成立も共感呼ぶ

2021年9月には友好団体の集会にメッセージを送ったこともある安倍晋三氏

2021年9月には友好団体の集会にメッセージを送ったこともある安倍晋三氏

 安倍晋三・元首相を銃撃した山上徹也容疑者は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に入信した母親が全財産を教団に貢いだため裕福だった家庭が崩壊、貧困の中で育ち、憎しみのはけ口を安倍氏に向けた。しかし、それとは逆に、同教団には安倍氏を熱心に応援する2世信者たちがいた。

 旧統一教会が安倍氏と支持層に食い込んだのには、教団側の事情が深く絡んでいる。

 もともと安倍・岸家と旧統一教会の関係は安倍氏の祖父・岸信介元首相から始まる。岸氏は自宅の隣にあった旧統一教会の本部に足を運び、教祖・文鮮明氏とも会談、次第に関係を深めていったとされる。

 旧統一教会は1968年に友好団体の「国際勝共連合」を設立し、反共産主義運動を展開していくが、日米安保条約改定反対運動で首相の座を追われることになった岸氏は、左派勢力の拡大を抑えるために教団に近づいたと見られている。

 文氏が1984年に米国での脱税容疑で実刑判決を受けて収監されると、岸氏は当時のレーガン大統領宛に文氏は反共主義者だとして「適切な措置」(釈放)を求める親書を送ったほどだ。

 そうした関係は安倍氏の父・晋太郎氏(元外相)にも受け継がれ、旧統一教会・勝共連合は「反共」で一致する自民党議員に食い込んでいた。

 しかし、安倍政権時代に旧統一教会と自民党の関係は質的に大きく変化した。宗教社会学が専門の櫻井義秀・北海道大学大学院教授が指摘する。

「反共を掲げていた文鮮明氏は1991年に北朝鮮を訪問して当時の金日成主席と会談し、それをきっかけに統一教会は北朝鮮に投資を始めた。反共活動の大義名分を失うわけです。そのため、勝共連合は生き残りを模索せざるを得なくなった」

 折しも、旧統一教会の霊感商法や合同結婚式が社会問題化して批判を浴び、教団の日本での活動は低迷、2009年には霊感商法など強引な寄附集めをしないという「コンプライアンス宣言」を行なう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン