2021年には「人生ゲーム」に「副業カード」が初登場。タカラトミー「大逆転人生ゲーム」(時事通信フォト)
〈業務に係る雑所得の範囲に、営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得が含まれることを明確化します。〉
〈また、事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うこととします。〉
つまり、この案の通りなら、これまで副業を「事業所得」として申告していたサラリーマンの多くは「雑所得」として申告するか、そうでなくとも「雑所得」と判断されることになる。「多くは」と書いたが副業で300万円以上を稼ぐサラリーマンというのはごくわずかだろう。実際、ごく一部の事業成功者を除けばあくまで副業であり、いわゆる「生活の足し」「夢(独立、専業化など)のため」の額であろう。
副業者にとって「損益通算」できなくなるのは痛手
原則的に「雑所得」とは「事業所得」「利子所得」「配当所得」「不動産所得」「給与所得」「退職所得」「山林所得」「譲渡所得」「一時所得」のいずれにも当てはまらない所得を指すが、国税庁の言う通り〈その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうか〉にあたらないと判断されると「事業所得」でなく「雑所得」となる。申告は自由だが、その判断は税務署次第ということだ。
もっとも、この「事業所得か雑所得か」の判断はこれまでも難しいとされ、これを逆手にとった脱税が横行したことは事実である。副業を悪用する連中もいて、申告納税制度を悪用した脱税行為、俗に言う給与所得が9割捕捉されるのに対して事業所得が6割程度という「クロヨン問題」に乗じて副業で極端な赤字を計上、事業所得として損失を申告した上で脱税、などの手口が知られる。
もちろん大多数のまっとうな副業を手掛ける一般サラリーマンには関係のない話だが、例えばこの手口はマルチ商法や情報商材系ビジネスなどの末端会員に悪用されてきた。国税庁も実のところ、こうした連中を詳細に把握するには限界と、今回の十把一絡げとも言える案を出したのでは、とみる向きもある。