夜中のゲームはNG。「今日の身長の伸び」をゼロにする

 睡眠は、脳だけでなく、思春期の身体にも大きな影響を及ぼしている。生殖ホルモンや成長ホルモンは、“真夜中、網膜が余計な光刺激にさらされていないこと”によって健やかに分泌される。思春期の身体のミッション、生殖器官を完成させること、身長を伸ばすことも、睡眠によって担保されている。

 また、ホルモンは、光の影響を受けやすい。これらの器官は、視神経に直結していて、網膜に当たる光の強弱で、分泌するホルモンをスイッチングしていているからだ。

 たとえば、夜中、網膜に光が当たらなくなると、メラトニンが分泌される。これは、脳全体の神経信号を鎮静化させ、脳を眠りに導くホルモンだ。逆に、網膜が朝日を感知すると、脳内に、セロトニンが分泌してくる。セロトニンは、脳内全体を活性化させるホルモンで、爽やかな目覚めを創り出す。

『娘のトリセツ』著者の黒川伊保子氏が大人になった娘との接し方を解説

子どもにどんな言葉をかけるべきか(黒川伊保子氏)

「生殖ホルモンと成長ホルモンは、網膜が光刺激から解放されたときに活性化されるホルモンです。寝る子は育つ、は、脳科学上も真実。男子の身長を、160センチ台から180センチまで押し上げるのは、14歳から16歳の3年間。女子は、初潮の前にぐんと伸びる傾向があるので、もう少し早いのですが、いずれにせよ、思春期に骨の伸び盛りがやってくるのは同じ。その伸び盛りに、“眠りのゴールデンタイム、真夜中”にゲームに興じたり、SNSに夢中になっているなんて、勿体なさすぎると思いませんか?」(黒川さん)

 確かに、息子に携帯(スマホ)を持たせたとたん、背が伸びなくなったという話を、よく聞く。

「でも、いくら“夜中のゲーム禁止、スマホ禁止”と言っても、中学生が聞く耳持つわけがないですよね。だったら、次の呪文を唱えてあげて。今の子は、身長が伸びないのは、かなりのショックらしくて、この呪文がかなり効くはずです。

夜中のゲーム(スマホ)は、今日の身長の伸びをゼロにする
夜中のゲーム(スマホ)は、今日の勉強をなかったことにする
夜中のゲーム(スマホ)は、筋肉のつかない身体にする

 ついでに、将来、胸の谷間が欲しかったら、夜中のゲーム(スマホ)は止めといたほうがいい、も。このどれもが真実なので、子どもに合わせて言ってあげたらいいと思います。思春期、生殖ホルモンが加速する夜中に、網膜を無駄に刺激しないほうがいい。18歳を過ぎてからでは、いくら悔やんでも取り返しがつかないこと教えてあげてください」(同)

思春期の脳に必要なのは、肉や卵などのタンパク質

  朝ごはんはもちろん、毎日の食事の中身も、脳育ての最重要事項だ。

「詳しいことは専門家に任せますが、私からアドバイスできることは、肉とたまごなどの動物性タンパク質を、思っているよりも多く食べさせたほうがいいよということです。特にたまごは、手軽で、コスト・パフォーマンス(値段に対する栄養価)がめちゃくちゃいい。しかも、たまごは脳が必要としているビタミンB群、アミノ酸、コレステロールの宝庫です」

「脳育てに不可欠な脳内ホルモン、《脳を活性化するセロトニン、脳を鎮静化するメラトニン、好奇心をつくり出すドーパミン、集中力をつくり出すノルアドレナリン》の材料は、ビタミンB群とアミノ酸。それらのホルモンによって起こった脳神経信号を、到達地点まで減衰させずに届けるためにはコレステロールが必要です。脳の6割は脂でできていて、その半分がコレステロールです」

 この数字だけでも、成長期に、脂肪カット、コレステロール0のダイエットが、いかにナンセンスかがわかるはず、と黒川さんは指摘する。

「さらに、女子にとっては、女性ホルモン・エストロゲンの材料でもあるので、思春期にコレステロールが著しく不足してしまうと、将来の生殖能力に関わることがあることも覚えておいてください」

 また、骨がぐんぐん伸びるとき、その材料であるたんぱく質、カルシウム、鉄分が大量に使われる。鉄分は、脳に酸素を送る大事な栄養素なので、骨に取られると、当然ぼんやりして、眠くなる。

「中学生の脳が、ぼんやりしてて、寝ても寝ても寝足りないのは、身長を伸ばすこととのバーター(引き換え)でもあります。ぼんやりを止めるには、鉄分が必須。肉、中でも、豚レバーはダントツです。中高生の食事について詳しいことを知りたかったら、ぜひ専門書を読んでみて。親が準備できる食事は万全の態勢で臨んで、この大変な時期を親子で乗り切ってください」

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