国内

「五輪汚職」で逮捕の高橋治之元理事と“安部派の後見人”森喜朗氏の知られざる蜜月

高橋治之元理事と森喜朗氏の関係は…(写真/共同通信社)

高橋治之元理事と森喜朗氏の関係は…(写真/共同通信社)

 旧統一教会問題とともに永田町に激震を与える五輪汚職事件。ここで名前が浮上するのは、“安倍派の後見人”だ。ノンフィクション作家・森功氏がレポートする。(文中敬称略)

 * * *
 ついに東京地検特捜部が高橋治之(78)を逮捕した。ご承知の通り、当人にかけられている嫌疑は、2021年東京五輪の組織委員会元理事としての収賄だ。高橋は2017年9月、自ら経営するコンサルタント会社『コモンズ』で紳士服メーカー『AOKIホールディングス』と契約。AOKIの五輪スポンサー決定からさかのぼる1年前のことだ。これ以降の4年、AOKIから受け取ってきた顧問料合計4500万円が、五輪スポンサーに選んでもらうための賄賂ではないか、という疑いである。加えて高橋にはAOKI側から2億3000万円が渡っていた事実も浮かび、追いつめられていった。

 高橋といえば、大手広告代理店『電通』元専務にして、日本のスポーツビジネス界の大物。わけても“五輪のドン”の異名をとるほど、東京五輪に影響力を行使してきた。

 逮捕された高橋の後ろ盾が元首相の森喜朗だというのも、なかばスポーツ界の常識となってきた。森自身は肺がんなどの闘病生活を経て人工透析を欠かせないといわれる一方、安倍晋三亡き後の安倍派の後見人として、その名が取り沙汰されるほど、政界における存在感を残してきた。東京・虎ノ門の『日本財団』内にオフィスを構え、今も政官財の著名人が足を運ぶ。ときには首相の岸田文雄も会食に誘っている。

 森は東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会会長を務め、自他ともに認める“五輪のご意見番”である。同じ組織委員会の理事だった高橋が、五輪のスポンサー選びで神通力を発揮できたのもまた、森のおかげだといわれてきた。

 その高橋に司直が切り込んでいるのだ。

「東京地検特捜部はこの春から捜査を続けてきました。読売(新聞)の早打ち(高橋に関する捜査の第一報)で捜査の段取りが狂った感は否めないけど、捜査に支障はないでしょう」(検察関係者)

 特捜部は7月26日以降、高橋の自宅やAOKIの関係先、さらには古巣の電通のほか、広告代理店『ADKホールディングス』にまで家宅捜索に踏み切った。そのうえの逮捕だ。

「特捜部は五輪マネーの流れを解明し、高橋だけでなく、その先のターゲットを見据えているはず」(同・検察関係者)

 政官界汚職の摘発を旨としてきた地検特捜部の捜査だけに全容解明への期待が膨らむのである。なかでも蜜月と呼ばれた森と高橋の関係はどうなっているのか。“五輪のドン”と“五輪のご意見番”―。そこは政官界のみならず、五輪やスポーツビジネス通なら誰もが関心を抱くが、今のところその類の報道はとんと見あたらない。あたり前のように語られる二人の関係は実のところ、あまり知られていない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン