高齢者の多くが悩む膝や股関節痛の治療として行われる人工関節手術も、必ずしも効果があるとは限らない。
「人工関節を入れても入れなくても、症状は変わらないという調査データがあります。実際に私が診療している患者の中にも手術を受けた人は多いですが、以前より動きやすくなったと話す人もいれば、手術後に症状が悪化して車椅子になった人もいる。受けるかどうかは慎重に検討すべきでしょう」(岡田さん)
関節痛と同じく、年を重ねるごとに悩みを抱える人が増える不眠でも、過度な治療は必要ない場合が多い。医療ジャーナリストの村上和巳さんはこう話す。
「70代以降の高齢者ではうつ病を治療している人など一部を除いて、実際には睡眠薬が必要ないケースは少なくありません。そもそも年齢が高くなるほど睡眠時間が短くなるのは自然の流れ。若い頃と同じ睡眠時間をとるために長く布団に入っている人もいますが、高齢ならば4~5時間の睡眠でも不眠とは言えません。
薬の副作用でふらついて転倒し、骨折することもあるので、“6時間睡眠信仰”は捨てた方がいい」
※女性セブン2022年9月1日号