安倍晋三元首相「国葬」の費用はどんどん膨れあがっていく
統一教会を見くびっていた
岸田さんは非常に温厚な人柄で、ソツがなくて、失言もしない。そして国政を丁寧に進め、記者会見も頻繁にやることで、安定感を得てきました。ところが、国葬の決定は拙速さが問題となり、岸田さんのイメージを明らかに損なっています。
それから、内閣改造も拙速でした。理由はわからないが前倒しで改造をした後、統一教会の問題が次々と出てくる。国民からすれば、なぜしっかり調べてからにしないのかと、疑問に思うのは当然です。
統一教会については、私自身、彼らの力について見くびっていた部分がある。しかし、先の参院選で、自民党公認候補が“賛同会員”として統一教会票を得て当選した。これにはびっくりしました。統一教会が応援したとされる他の議員も、かなりいい戦いをした。小選挙区で数%の得票差が勝敗を決するなか、統一教会に頼りたくなる議員はいるでしょう。
しかし、ここまでくれば教会の活動を規制するところまで踏み込まないと、問題は収束しません。もはや自民党の各議員が関係を見直すという段階ではない。
河野太郎さんが霊感商法に関する検討会の設置を表明しましたが、なんらかの規制をしなければ、また名称を変更して同じことが繰り返されるだけです。活動の規制に関しては公明党や自民党内からも大きな反発が上がるでしょうが、そこは河野さんの真価が問われる。
ただし、そこで成果を挙げたとしても、岸田政権としてはしばらくは厳しい政権運営を強いられるでしょう。
【プロフィール】
山崎拓(やまさき・たく)/1936年生まれ。1972年初当選。自民党幹事長、党副総裁、防衛庁長官や建設大臣などを歴任。
※週刊ポスト2022年9月9日号