国内

山崎拓・元自民党副総裁 「安倍元首相国葬決定はあまりに拙速すぎた」

山崎拓氏は安倍元首相の国葬をどう見る?

山崎拓氏は安倍元首相の国葬をどう見る?

 安倍晋三・元首相の国葬について国民からの反対意見が高まっても、自民党内からは疑問の声が上がらない。そんななか、最重鎮のひとり、山崎拓・元自民党副総裁が、政権に警鐘を鳴らす。

 * * *
 今回の国葬決定をめぐっては、岸田文雄・総理の判断が先走りしすぎたという印象を持っています。かつて佐藤栄作・総理が吉田茂・元総理の国葬を決めた時は、全国民からの支持が得られるようなさまざまな努力、根回しがなされました。

 国家の政治構造は三権分立であり、国権の最高機関は国会です。やはり、国葬については国会に諮るべきだったと思います。衆参の両議長を通じて議運(議院運営委員会)にかけ、野党の反対意見にも耳を傾けたうえで決定すればよかったと思う。

 しかし、今回は残念ながらそうした段階を踏まず、総理がパッと決めてしまった。記者会見で発表し、事後的に閣議決定をしたわけです。

 なぜそんなに急がなければならなかったのか。盟友の安倍さんが亡くなったことへの想い、自らが葬儀委員長を務めるという意志が強かったのでしょう。亡くなった直後は国民から悼む声が多く、国葬についても理解を得られると思ったのかもしれません。

 しかし、現実には統一教会問題への批判、新型コロナの感染拡大もあり、国葬への反対意見は日増しに増えています。

 戦後の総理経験者では唯一の例である吉田さんには特別な、国葬に値する功績がありました。それは独立の回復です。昭和27年の4月28日、私が高等学校に入った年ですよ。小学校3年から中学校3年までは占領下にあった。独立を回復したという、日本人にとってそれ以上の功績はありません。

 吉田さんの愛弟子であり国葬を取り仕切った佐藤栄作さんは、独立後も20年間、残されていた沖縄返還を成し遂げましたが、その佐藤さんですら国葬ではなく国民葬でした。

 それ以来、我が師である中曽根(康弘)さんは内閣・自民党合同葬ですし、国葬の例はありません。果たして安倍さんに国葬に値する政治的功績があるのか。まずは国葬についての基準を議論すべきでした。

 だが、いったん決めてしまった以上は、もうどうにもならない。国際社会に向けて案内状も出してしまっており、万障繰り合わせて、世界中からVIPが来るのですから。

 やれば大きな批判を受けますが、やらなければより大きな政治問題になり、引責辞任しかない。岸田さんは後戻りのしようがありません。その判断はあまりに拙速でした。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン