テレビ画面でモニタリング
尿漏れ以上に深刻な便失禁に悩む人も多い。
便失禁は、尿漏れよりもにおいなどで周りに気付かれやすく、起きてしまってからの対処も一苦労。なにより、本人のプライドを大きく傷つけてしまう。それなのに、専門医に相談している便失禁患者は、悩んでいる人のうち数%ほどしかいないと見られている。
しかし、この便失禁も正しい知識で対応すれば、改善すると大腸肛門病センター高野病院会長の高野氏は語る。
「当院の副院長の研究によれば、人間は70歳を過ぎた頃から肛門括約筋が弱くなり、便が漏れるようになってしまう。ただし、肛門括約筋の衰えはトレーニングで改善します。
患者さんに合わせて運動を提案しますが、方法の1つに『バイオフィードバック療法』があります。これは肛門括約筋を締め、その筋肉の動きをテレビ画面でモニタリングする方法。的確なフィードバックが得られるので、高い改善効果が期待できます。
また、電気刺激を与えて肛門括約筋を強くする治療法もあります」
ただ悩んでいても治らない。治すためにできることは多いのだ。
※週刊ポスト2022年9月16・23日号