国内

欧米では「コロナ禍は過ぎたもの」 慎重な日本の対応は“一周遅れ”なのか

猛暑の屋外でも日本のマスク着用率は100%に近い(時事通信フォト)

猛暑の屋外でも日本のマスク着用率は100%に近い(時事通信フォト)

 終わりが見えない新型コロナウイルス感染拡大の第7波。しかし世界では、コロナ禍以前と同じような日常“アフターコロナ”の社会が浸透し始めている。大きく後れをとっているとされる日本と各国のルールを比較することで、日本の課題も見えてきた。

 8月31日、新型コロナウイルスに感染していた岸田文雄首相が、10日間の療養期間から復帰し、対面での公務を再開した。記者会見ではワクチンについて言及し、「4回目を済ませていたことで軽い症状で済みましたし」と、国民にもワクチン接種を促した。

 夏休み期間中には新規感染者数が連日20万人を超え、9月2日には347人という過去最悪の死者数も記録。第7波の猛威はいまだ収束の見通しがつかない。世界保健機関(WHO)が8月25日に出した21日までの集計では、新規感染者数は日本が5週連続で世界最多、週間死者数はアメリカの2714人に次いで2番目の1624人となった。

 新型コロナ関連の報道を見かけない日はないが、現在の日本の状況が世界のスタンダードでは決してない。フランスのパリに在住するジャーナリスト、羽生のり子さんが話す。

「フランスでは、今年1月をピークに、1日の新規感染者数が激減しました。それによって新型コロナに関する緊急衛生法が7月末で全面廃止となっています。マスコミが新規感染者数を報じることもなく、『コロナ禍はもう過ぎたもの』というのが国民の一般的な感覚です」

 同じヨーロッパのイギリスでも、新型コロナ関連の規制は撤廃され、新型コロナウイルスとの共存を意味する、本当の意味での「ウィズコロナ」の時代がスタートしている。岸田首相は会見の中で水際対策の緩和も表明し、9月7日以降、入国者数の上限が現行の1日2万人から5万人に引き上げられる。G7の水準に並ぶことを目指すとしているが、世界と日本の「アフターコロナ」の常識には大きな差が生じつつある。

電車でもノーマスク

 8月21日に開催された国内の音楽フェスティバルでは、出演したロックバンド「ONE OK ROCK」のボーカリスト・Taka(34才)が、マスク着用の上、歓声や会話が禁じられている観客に対し、「声出し」を煽ったことで炎上した。翌日には、本人のインスタグラムに謝罪コメントが投稿されている。

 だが世界に目を向けると、6月23日にイギリスのロンドンで開催されたダイアナ・ロス(78才)のコンサートでは約2万人の観客が集まり、年配者も多く見られたが、マスクの着用者はゼロに近かったという。4月にアメリカで開催された世界最大規模の音楽フェスティバルでも、密集した観客の中にマスク着用者の姿はない。アメリカ在住の医師・大西睦子さんが指摘する。

「(ペンシルベニア州にある)アネンバーグ公共政策センターが最近行った調査では、アメリカ人の10人に4人が『パンデミック前の日常に完全に戻った』と答えています。医療現場以外でのマスク着用の義務はほとんどなく、屋外でマスクをしている人はほぼ見かけません。しかし、夏休みを利用してボストンに滞在している日本人を見ると多くの人がマスクを着用しているので、その違いに驚きました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

亡くなる前日、救急車がマンションに……
《遺骨やお墓の場所もわからない…》萩原健一さん七回忌に実兄は「写真に手をあわせるだけです」明かした“弟との最期の会話”
NEWSポストセブン
3月24日午後4時半すぎに事件は起きた
《高齢ドライバー事故》あんたが轢いたのは人間やで!」直後に一喝された古橋昭彦容疑者(78)は呆然とうなだれた…過去にも「気づいたら事故」と供述【浜松・小学生姉妹死傷】
NEWSポストセブン
試合後はチームメートの元を離れ、別行動をとっていた大谷翔平(写真/アフロ)
【大谷翔平、凱旋帰国の一部始終】チーム拠点の高級ホテルではなく“東京の隠れ家”タワマンに滞在 両親との水入らずの時間を過ごしたか 
女性セブン
「MEDIA IS NOT GOOD」とは、“パンクの女王”と呼ばれたアメリカの詩人でミュージシャンのパティ・スミスが発信したメッセージ
《KAT-TUN解散》亀梨和也の「4万円メッセージ入り白Yシャツ」に込められた“不退転の覚悟”
NEWSポストセブン
いよいよ開幕迫るプロ野球。3年連続最下位の中日ドラゴンズは汚名挽回なるか(*credit)
【日中問題の専門家が語る“中日愛”】名手でもファン投票でオールスター落選…ドラファンならとっくに知っている「民主主義の残酷さ」
NEWSポストセブン
サトウ食品はパックご飯の一部商品の生産休止と終了を発表した(公式サイトより)
「コメが足りないわけではないんです」…『サトウのごはん』一部商品の販売終了…担当者が明かした休売・終売の目的
NEWSポストセブン
すき家の対応の「マズさ」とは(時事通信フォト、写真は東京都港区の店舗)
「ネズミと虫とはワケが違う」「なぜ公表が2か月後だったのか」すき家で“味噌汁にネズミ混入”、専門家が指摘する「過去の前例」と「対応のマズさ」
NEWSポストセブン
Number_iのメンバーとの“絆”を感じさせた永瀬廉
キンプリ永瀬廉、ライブで登場した“シマエナガ”グッズに込められたNumber_iとの絆 別のグループで活動していても、ともに変わらない「世界へ」という思い 
女性セブン
破局していたことがわかった広瀬(時事通信フォト)
《女優・広瀬すずと交際相手が破局》金色ペアリング熱愛報道も…昨年末に「薬指のリング」は“もうつけない”の異変
NEWSポストセブン
“スーパーサラリーマン清水”と“牛飼”の関係とは──。
成金トクリュウ“牛飼” 斎藤大器容疑者(33)と“スーパーサラリーマン清水” 清水謙行容疑者(49)の“意外な繋がり”「牛飼に近い人物が関西に“点検商法”を持ち込んだ」
NEWSポストセブン
春の園遊会では別の道を歩かれる雅子さまと紀子さま(2024年10月、東京・港区。撮影/JMPA) 
春の園遊会が60年ぶりの大改革 両陛下、秋篠宮ご夫妻、愛子さま、佳子さまが3組に分かれ“皇族方の渋滞”を解消、“じっくりご歓談”“待ち時間短縮”の一石二鳥 
女性セブン
プロデューサーとして本作のスタッフィングなどに尽力したシンエイ動画の佐藤大真さん
『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』プロデューサーが明かす「王道」を意識した「敵キャラ」の魅力
NEWSポストセブン