今年4月に米・カリフォルニア州で開催された「コーチェラ・フェスティバル」ではマスク着用者はほぼいない(写真/GettyImages)

今年4月に米・カリフォルニア州で開催された「コーチェラ・フェスティバル」ではマスク着用者はほぼいない(写真/GettyImages)

 フランスの羽生さんも言う。

「地下鉄の車両を見渡してもマスクをつけているのは2〜3人。他人のすぐそばで咳き込んだり、平気でものを食べる人もいます」

 記録的猛暑となり、国が屋外ではマスクを外すよう推奨しても、着用率ほぼ100%の日本では考えられない。

ワクチンパスポートも撤廃

 関西で暮らす50代の女性は、夫が新型コロナ陽性となり苦労したと話す。

「私と中学生の娘が濃厚接触者になりました。5日間の自宅待機となったのですが、夏休み中だった娘は友達とテーマパークへ出かける予定があり、文句は言わなかったものの、その落胆ぶりはかわいそうなものでした」

 現在、日本では新型コロナ陽性者が10日間の自宅療養、濃厚接触者が5日間の自宅待機となる。無症状の場合は療養期間が7日間に短縮され、濃厚接触の場合も陰性であれば3日目から待機解除となるが、他国と比べると期間が長い印象は否めない。

 入国の規制については、日本ではワクチン3回接種完了の証明がある場合のみ、72時間以内に検査した陰性証明が9月7日から不要となった。そのため、日本に滞在を希望する人の中には、3回目のワクチン接種を検討するという人も少なくない。一方で、イギリスやフランスではワクチンパスポートがすでに撤廃されている。

「フランスでも3回目のワクチンを打つ人は多かった。打たなければワクチンパスポートが無効になる可能性を政府が示唆したからです。しかし、ワクチンパスポートが撤廃された現在、4回目のワクチンを打ちたくないという人が増えています」(羽生さん)

 日本でもワクチン接種への賛否は分かれているが、それは海外でも変わらないようだ。コロナ禍を「過ぎたもの」として“日常”に戻りつつある諸外国と比べ、日本の対策は後れをとっているのだろうか。国際未病ケア医学研究センター長の一石英一郎さんが言う。

「第6波までに感染爆発を経験した欧米などの諸外国では、感染によって得られる『N抗体』を持っている人が多い。一方、マスク着用やソーシャルディスタンスなどで感染対策を徹底してきた日本人は、ワクチン接種で得られる『S抗体』は高いものの、『N抗体』が極端に低いことがわかってきました。

『S』と『N』を併せ持つ『ハイブリッド免疫』を身につけるため、日本もどんどん規制を緩和して『N抗体』を作るべきであり、その方が経済も活発になると考える人もいるかもしれません。

 しかし、ハイブリッド免疫を目指すことが医療崩壊の引き金となり、重症化リスクを高める恐れもある。他国と日本人では免疫の状況がまるで違うことを理解した上で、アフターコロナの規制緩和は慎重に進める必要があります」

 新型コロナの感染状況も“多様化”を迎えている。全員が歩幅を合わせられる時代になるには、もう少し時間がかかるかもしれない。

※女性セブン2022年9月22日号

4回目接種後に感染(時事通信フォト)

岸田首相は4回目接種後に感染した(時事通信フォト)

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン