2000年代、携帯電話でアクセスした「出会い系」サイト(時事通信フォト)

2000年代、携帯電話でアクセスした「出会い系」サイト(時事通信フォト)

 恐喝されていると訴え、きっかけとなった待ち合わせ女性との関係を警察に問われたとき、下心ありのパパ活ではなく、純粋に彼女を助けたかったのだと強弁した土居さん。実は女性には組んでいる男たちがいて、そちらを注視していた警察にとって土居さんは、パパ活で狩りをしようとする者をおびき寄せる罠だったのかもしれない。土居さんは幸運にも美人局にカモられた男という不名誉から逃げ切り、パパ活の建前である「個人的に彼女を助けたかった」を押し通したおかげで、警察にも手厚く守られたのだという。とはいえ無関係の第三者からすれば、どっちもどっち、くだらないせめぎ合いにしか見えない。

 パパ活をめぐるトラブルならば男性が被害者というイメージが強いかもしれないが、逆に女性が狙われることもあるという。パパ活女子を狙った犯行を繰り返していたグループがあると、若者が多く集まる飲食店の店主が証言する。

「彼らが言うには、SNSでパパ活希望の女性とアポを取り、通っている学校や勤務先、自宅の場所などの個人情報を少しでも聞き出しながら、何回かデートを繰り返す。その間に、金払いがよい様子をわざと見せて信用させる。それから親や会社にバレてもいいのか、自宅も知っているし近所にもバレるぞと言えば、恐がって金を出すというんですよ」

 普通に働けばいいのにと内心で思いながら、なんでそんな金儲けを思いついたのかと店主が聞くと、パパ活という言葉がメディアで取りあげられ、パパ活に興味を持った女性がSNSに増えたことが、犯行を思いついたきっかけだったと言われた。そして、どんなやり方で金品をまきあげるかを自慢された。

「それで3万儲かったとか5万儲かったとか仲間内で報告しあっているところも、何回か見かけました。捕まるリスクは低いとまで言っていて、危ういことをやっているなと思ったから、ほどほどにしておきなと忠告はしたんですけどね。結局、女性側に通報されて、脅迫とか付きまといとかで何人か逮捕されたと聞きました。正直言ってパパ活でお小遣い稼ぎをしようとする側も、その女の子たちを脅す側もどっちもどっちですよね。まあ、バカな人たちがバカ同士でなんかやってると世間からは思われているでしょうね」

 援助交際がおもに電話を使ったいわゆる「テレクラ(テレホンクラブ)」を通じて行われていた時代からすると、現代の「出会い」は手元のスマホ一台でより気軽に実現することができるようになった。裏を返せば「美人局」もより気軽に実践できるようになった、という事実はあるだろう。未成年の犯行が目立つのも、よりハードルが下がったからに違いないはずだ。

 美人局などがなくならない理由は、個々人がこうした自由勝手すぎる主張を展開した末に起きていることは明らか。結局、現代的な美人局を巡るトラブルについては、どっちもやましいしどっちも悪い、ということに尽きるのかもしれない。

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