佐藤優(さとう・まさる)/1960年生まれ。元外交官。作家
佐藤:その意味で、秋篠宮家は典型的な日本の家族とも言えます。娘が親に逆らって、家を出てしまったという。
片山:小室夫妻は皇室の幻影を完全に崩し、国民を支えてきた天皇の物語の限界を国民に知らしめたということですね。
佐藤:ええ。国民の規範となるべき皇室が役割を果たせなくなってしまった。その上、絶対的貧困も避けられない……。日本はこれまでにない危機であることは間違いありません。
片山:それでも日本は大丈夫と思っている人は少なくない。すぐそこに近づく危機を感じられない──それが、令和日本における最大の危機なのかもしれません。
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
佐藤優(さとう・まさる)/1960年生まれ。元外交官。作家。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。2005年に執行猶予付きで有罪判決。近著に『日本共産党の100年』『プーチンの野望』など。
片山杜秀(かたやま・もりひで)/1963年生まれ。慶應義塾大学法学部教授。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。専攻は近代政治思想史、政治文化論。近著に『尊皇攘夷 水戸学の四百年』など。
※小学館新書『危機の読書』巻末対談より