弟の村上慶太。国体で活躍を見せた
「自分は通用するのか、心配があった」
慶太は、兄と同じ道を歩むべく、プロ志望届を提出済みだ。2022年が明けたタイミングで兄から受けたアドバイスが決断を後押しした。
「去年の秋から冬にかけて、打てていないわけじゃなかったけど“自分は(プロで)通用するのか”という心配があった。お兄ちゃんに相談した時に、『可能性があるなら挑戦しろ』と言われました。それなら覚悟を決めて挑戦しよう、と。できることなら、一緒のチームでやりたいですけど、育成(契約)では行かないです。支配下だけですね」
高校時代に捕手だった兄とは異なり、慶太は守備に不安を残す。三塁の守備も練習を重ねてきたものの、公式戦となると一塁が定位置だった。助っ人外国人やベテランが起用されやすい一塁のポジションしか守れない高卒の大型新人が入団後に苦労することは、清宮幸太郎(北海道日本ハム)をはじめ歴史が証明している。
「プロはサードで勝負しようと思っています。身体の大きいことは、その分、可能性があるし、伸びしろもあると思っている。生んでくれた両親に感謝です。木製バットへの対応も、内からバットを出せれば自分の場合は金属よりも飛ぶ。スイングは悪くないと思っています」
もし支配下登録を希望する球団が現れれば、今時分以上に兄と厳しく比較・批評されるのは目に見えている。
「高校でもつらかったり、きつかったりしたことはあったんですけど、自分だけしか味わえないこと。これから一生、『村上宗隆の弟』というのがつきまとうと思うんですが、これから自分のプレー、成長で『村上慶太の兄』と言われるように頑張りたいです(笑)」
今年6月、九州学院のグラウンドでは土砂降りの中、練習試合が行われていた。視察に訪れていたスカウトは、こんなことを漏らしていた。
「今のお兄ちゃんのような成績を高校生の段階から期待することはできません。ただ、同じDNAを持つというだけで、指名に動く球団はあると思います」
慶太の運命を左右する今年のドラフト会議は10月20日の木曜日。東京ヤクルトがクライマックスシリーズを勝ち抜けば、日本シリーズの開幕前々日となる。一足早い祝砲は村上家に届くだろうか。